大道幸之丞

HANA-BIの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

HANA-BI(1997年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ビートたけしが「北野武」として映画を監督し初めてヴェネツィア国際映画祭にて金獅子賞を受賞し客観評価された作品。

ここから国内でも北野作品に対する評価が変わった。

根底に伝えたいメッセージらしきものはあるが、結局ざっくりとした脚本に自作の絵画をふんだんに盛り込み、あとは俳優ビートたけしの存在感で強引に持って行っているような作品。

この手の映画はイタリア人やフランス人なら勝手に高尚な誤解を生じさせ、かつての三島由紀夫や山本耀司のように「(不条理を孕んだ)不可解な天才」と賛嘆するに違いない。

いや、この監督は海外に対して意図的にその「誤読」を迫った確信犯に違いない。事実、過去そんな事をテキストに残している。

この監督は人物の内面や心の移ろいを描くのが不得手だ。だから対極にある暴力や威力の場面を作りその描写がない場面を「平和」のように思わせる手法をとる。

そして「人間の生死感」が常に頭から離れない。離れないがこれと言って哲学もないものだから、観る側に突きつけ答えを考えさせる。「残り僅かな命」や「生きながら身が不自由になった男」がこの映画には登場するが、結局持て余して消化できていない。

今現在北野作品はサブスク界隈にはない。私も海外Blu-ray Discを購入して今回視聴したのだが、いまのところ「菊次郎の夏」以上の作品に出会えていない。