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欲望という名の電車のNOBUのレビュー・感想・評価

欲望という名の電車(1951年製作の映画)
3.8
“欲望”という名の電車に乗って“墓場”という駅で乗り換えて“極楽”という駅で降りたいの〜。
ヴィヴィアン・リー演じる主人公ブランチが吐くこんな台詞から始まる本作はとても救いのない内容であることを暗示させる。
目的地に着くや、妹ステラとその夫スタンリーの三人でのストーリーが展開するが、総じて、スタンリーの粗い言葉や暴力性が相まって決して愉快なものではない。
そして精神的にヤられてしまっているブランチの数々の言葉はどれも印象深い。
この映画の魅力はそこにあるのかもしれない。
中盤こそブランチにはちょっとした希望が持てるものの、後半はその希望が打ち砕かれ、下降線の一途を辿る。

この作品から見える三人の姿はアメリカの戦後における価値観が変貌している移行期そのものであるのではないだろうか。

主人公ブランチを演じたヴィヴィアン・リーのお芝居は表情だけでなく手先まで研ぎ澄ますようにブランチの葛藤を表現しており、圧倒的に素晴らしいお芝居である。
エリア・カザン監督の映画人生の出発点とも取れる映画であり孤独や暴力性などのちの「エデンの東」など後の彼の作品の原点とも言える作品でもあり見応えがある。

そして、ストーリーやお芝居だけでなく映画の構図と相まった照明や美術も素晴らしく完成度は総じて大変高い。

しかし、この作品を観るときは相当の体力と忍耐力が問われる。。。
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