T太郎

ミッドナイト・イン・パリのT太郎のレビュー・感想・評価

ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)
3.8
886
再鑑賞
ウディ・アレン作品だ。

私はウディ・アレン作品を結構観ているのだが、特段好んで観ている訳ではない。

観てみると面白い。
だが、積極的には食指が動かないといったところか。

忘れた頃に観て、
「オモロイやん」
となるのだが、後日レンタルする際には何故か優先順位が下がってしまうのだ。
誠に申し訳ない。

その罪滅ぼしと言ってはなんだが、ちょっと特異な本作品を再鑑賞した。

なんとSFファンタジー・ロマンチック・コメディなのだ。
非常に面白い。

いつの時代もやたらと過去を懐かしみ、憧れ、称えるという風潮はある。

今現在、80年代の音楽などが再評価されているが、80年代当時は5、60年代がもてはやされていた。

世知辛い今を生きている人々は、一様に過去に黄金郷を見いだすものなのだ。

そういう事を皮肉たっぷりに描いた物語でもある。

主人公はオーウェン・ウィルソン演じる作家志望の男だ。
彼は1920年代のパリに強い憧れを抱いている。

しかし、レイチェル・マクアダムス扮する婚約者は全く理解を示してくれない。

彼女は、おしゃれなアクセサリーや愉快なパーティーなどに価値を見出す種類の女性なのである。

ある夜、主人公がパリの街を歩いていると何やらクラシカルな自動車が彼の前にやってきた。

乗っている人たちもクラシカルな出で立ちだ。
何なんだ一体。

この車、実はタイムマシーンなのだ。
デロリアンなのである。
彼は20年代のパリにタイムスリップする。

フィッツジェラルド
ジャン・コクトー
ヘミングウェイ
ピカソ
ダリ
ルイス・ブニュエル
などなど・・・
当時の有名文化人が続々と登場する。

彼は現代と20年代を行ったり来たりしながら、有名人たちと親交を深めていくのだ。

そんな中、マリオン・コティヤール演じるアドリアナという女性と出会う。
モジリアーニやピカソに愛されたという魅力的な美女だ。

二人は恋に落ちるのだが、そんな彼女も懐古趣味の持ち主だった。
1890年代に強い憧れを抱いているのだ。

ある夜、そんな二人の前にクラシカルな車が・・・

馬車だ。
2頭立てのシャレオツな馬車だ。
馬車のデロリアンだ。

二人は19世紀のパリに・・・

そんな物語だ。

懐古趣味というのは、実は誰しもあるのではないだろうか。
もちろん私にもある。

デロリアンで行くならば、5、60年代の日本だ。
その頃の邦画を観ると、生まれる前にもかかわらず妙に懐かしさを憶える。

私がたまにこの時代の邦画を観ているのは、そういう理由もあるのだ。

最近、黒澤明の「天国と地獄」を鑑賞したが、作中登場した大衆食堂の場面など実に懐かしみを感じたのである。

そして、主人公と同じように当時の文化人サロンにも出入りしてみたいと思う。
黒澤、小津、溝口らと映画談議に花を咲かせるなんて、実に素敵な事ではないか。

彼らと「アベンジャーズ」や「ワイルドスピード」について語り明かしたいものである。

おっと、忘れてはいけない。
この作品にはレア・セドゥも出演している。

出演シーンは少ないながら、いい役である。
しかも可愛らしい。

レイチェル、マリオン、レアと3大私の好きな女優さんが出演しており、実に眼福な一本と言えよう。

ウディ、趣味がいいね👍
また作品観るよ。
T太郎

T太郎