福福吉吉

天河伝説殺人事件の福福吉吉のレビュー・感想・評価

天河伝説殺人事件(1991年製作の映画)
2.0
◆あらすじ◆
ルポライターの浅見光彦(榎木孝明)は能の取材のために吉野の天河神社を訪れる。その神社では近々、能の儀式が行われる予定になっており、その能は水上家が取り仕切っていた。水上家の長老の高崎(神山繁)が変死体で発見され、偶々、高崎を会話をしていた浅見が殺人の容疑者として逮捕されてしまう。無事、容疑が晴れた浅見だったが、浅見はそれをきっかけに水上家にまつわる因縁に関わっていく。

◆感想◆
とてもオーソドックスなミステリー作品となっており、登場人物の複雑な人間関係とそれぞれの思惑が絡み合った事件を主人公の浅見光彦が解決していく姿を描いていました。

主人公の浅見光彦はどこか浮世離れした感じで飄々として感情の薄い人物として描かれていて、どこか感情移入しにくいキャラクターでした。兄が警察のエリートであり、それが明らかになって警察が態度を改めるという流れが浅見光彦シリーズの定番になっており、本作でも仙波警部補(加藤武)が急に低姿勢になっていて面白かったです。

本ストーリーの軸として、兄・水上和憲(日下武史)と妹・水上秀美(財前直見)の能の水上家の後継者争いがあり、これが原因で事件が起こっていきます。そのため、登場人物の種類として和憲側と秀美側、そして中立に分けられるのでその部分で理解しやすいと思います。

映像として人里離れた天川村と天河神社の自然に囲まれた風景が観ていて綺麗に感じました。オーソドックスですが、田舎を舞台にしたミステリー作品には定番の奥ゆかしさのようなものを感じます。

本作の問題点としては、キャストがサスペンス作品のベテランの俳優さんたちが用いられていることで、ストーリー展開や犯人が予想しやすいことにあり、本作では特に顕著で普段からあまり展開を予想して観ない私でも「この人、犯人だろうな」とファースト・インプレッションで分かってしまいました。もちろん犯人捜しだけがミステリーの魅力ではないのですが、少し残念でした。

また、俳優陣の演技が少しくどく感じてしまったところがあり、一言ごとにリアクションをして、そのリアクションがオーバーに感じる部分がありました。

作品としての面白みが少ないように感じました。オーソドックスなミステリーは好きなのですが、それでも少しは意外性のある展開も欲しいと思ってしまいました。

鑑賞日:2024年2月10日
鑑賞方法:BS日テレ
(録画日:2023年2月18日)
福福吉吉

福福吉吉