BSにて。マクベス城。
黒澤作品は再見すればするほど順位が入れ替わるところがある。そんな自身の経年や経験も同時に楽しめるのは本当に面白い。
本作もそうで初見より何度か観ているのだが、これは「観る度にマイ順位を落とす系」に属する。その要因は色々ありそうだがとくには
・ゲキをとばす ・伝令
がセリフの8割を占め「芝居場」が極めて少ないこと。またセリフが「聞き取れない」のはこの頃のデフォな上、伝令系で張るから余計なのだった。クロサワはダイナミックなエモーションを描かすと比類の腕力の持ち主だが弱点もまた数多ある。
が、忘れ難いカットの数々と格調はさすが。五十鈴PVでもあり当時からすればめちゃモダンな1957年作。巨匠も「雨月物語」などに触発されもう一発怪奇がやりたかったんだろうなあ。