イチロヲ

ロケーションのイチロヲのレビュー・感想・評価

ロケーション(1984年製作の映画)
5.0
ピンク映画製作に邁進しているカメラマン(西田敏行)が、出演女優(美保純)の帰郷を記録していく。スチール写真家・津田一郎の著書「ザ・ロケーション」を下敷きにしている、人情喜劇映画。ロケ場所は、福島県いわき市。筆者は原作を読了済み。

エッセイ集になっている原作から細かな要素を引用して、劇映画へと変換させている作品。訳あり女優の生い立ちを探ろうとする主人公が、映画撮影を利用することにより、人間の殻を壊していく。虚実のシーソーゲームに訴求力をもたせている。

撮影隊の仕事ぶりがリアリティ満点に描かれており、前貼りを露出したままの、第三者視点での撮影シーンが面白い。「映画を作りたいだけのグループは、他人の目には山谷の浮浪者と同じに見える」(原作より抜粋)が、しっかり伝わってくるところもグッド。

「ピンク映画にうっかり出ちゃう女の子」の不幸な境遇から人間讃歌を説いていく、いつも通りの森崎東流映画術。演者の体当たり演技があまりにも凄まじく、映像から発せられる熱量に卒倒しそうになる。
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