T太郎

キル・ビル Vol.2のT太郎のレビュー・感想・評価

キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)
3.6
927
再鑑賞
ユマ・サーマン扮する主人公の復讐劇だ。彼女は5人の元仲間を次々と葬っていく。
VOL.1では2人を倒したので、あと3人という訳だ。
ちなみに彼らはビルという男をボスに頂く殺し屋グループである。

まずはバド(マイケル・マドセン)だ。
ビル(デビッド・キャラダイン)の弟である。
だが、厳密には彼とは戦っていない。
戦う前に返り討ちに会い生き埋めにされてしまうからだ。

全編通してここが最大の危機的場面だ。
一体どうやって切り抜けるのか見当もつかなかった。

なんせ木の棺に入れられ、地中深く埋められるのだ。
手足を拘束されてもいる。
絶体絶命なのである。

だが、私たちは彼女が助かる事を最初から知っている。
どのようにして助かったのか。
どうか安心して鼻でもほじりながら品良く観ていただきたい。
納得できる展開が待っているはずだ。
(ホンマか?)

もう一人、エル(ダリル・ハンナ)という隻眼の殺し屋がいる。
実はバドを抹殺するのは彼女だ。
仲間割れである。

エルはVOL.1でも登場していたが、どうやら毒殺を得意としているらしい。
だが、武術や剣術の腕にも覚えがあるらしく相当な強敵である。

次はそのエルと甦った主人公の一騎打ちだ。
ここも私たちは結果を知っている。
主人公はどのようにしてエルを倒したのか。
どうか安心しておケツをボリボリかきながらお上品に観ていただきたい。
納得できる展開が待っているはずだ。

さて、問題はここからだ。
いよいよビルとの対決である。
主人公とビルはかつて愛し合っていた仲だ。
いや、今でもお互い憎からず思っているのだ。

この二人が一体どのような最後を迎えるのか。
乞うご期待!
という訳である。

前作ほどの派手さはない。
そこに物足りなさを感じる方々も多いだろう。
正直、私もそうだ。

だが、タランティーノ監督もおっしゃられているように「1」と「2」は完全に別作品なのだ。
そこは大人の鑑賞眼をもって、この作品の本質を見極める必要があるだろう。
そう思って観た結果・・・

・・・いや、無理ですやん。
どうしても比べてしまいますやん。
栗山千明みたいな登場人物を期待しますやん。

私に大人の鑑賞は無理だという事が判明したのであった。

まあ、しかし、相変わらずタランティーノの映画愛が横溢している事は間違いない。

私はマカロニウエスタンをそれほど観た事がないので偉そうな事は言えないが、この作品にはそれっぽさがある。
特に音楽。

後の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でディカプリオがマカロニウエスタンの事をボロカスに言う場面があったが、タランティーノ自身は嫌いではないのだろう。

更に往年のカンフー映画もオマージュされている。
この場面はカメラワークまでもが当時の香港映画のようで、実に凝っているのだ。

ユマ・サーマンが若き日のジャッキー・チェンに見えたり見えなかったり・・
(見えるか)

映画が好きな人は、この映画マニアのタランティーノの事を必ず好きになるはずだ。

やたらグロかったり、冗長な会話が多かったりと一見マイナス要素もあるのだが、全部ひっくるめてタランティーノなのだ。

どうかお気楽に、品位を保ちながら彼の作品を鑑賞していただきたいと思う今日この頃である。
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