ハヤシ

ナイト・オン・ザ・プラネットのハヤシのレビュー・感想・評価

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一時期毎日のようにタクシーに乗って生活していた時期があったが、そのとき乗り合わせたドライバー数人のことは今でもはっきりと覚えている。とはいっても顔を覚えている相手は1人もいない。だからドライバーのこと、というよりはドライバーと話した内容と言うべきだろうけど。直接顔を突き合わせて喋ったわけではないから入ってくる情報が絞られて、逆によく記憶に残っているのか。

もう二度と会わないであろう人と同じ空間と時間を共有する。そしてそれまでの人生から得たもの(というとなんだか大袈裟な感じ)を互いに交換し合う。そういう場としてのタクシーって、実はすごく独特ですごく面白いものなのかもしれない。

軽い気持ちで観られるおしゃれ映画で、それでいて一つひとつのエピソードが無二のもので良かった。5つの都市で同じ日の夜に起こった出来事をそれぞれ描くオムニバスというアイディアの時点でもう好きだよ。ロサンゼルス→ニューヨーク→パリ→ローマ→ヘルシンキの順で進むんだけど、つまり時間は遡る形になっているということ?

ロサンゼルスのトムボーイ運転手コーキーの、煙草をふかしながら運転する居住まいがむっちゃくちゃキマってて最高。
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