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ビジターQのsouichirouのレビュー・感想・評価

ビジターQ(2000年製作の映画)
3.8
三池崇史監督による鑑賞注意な超絶カルト怪作。
いじめに遭う息子、家出した娘、息子からの家庭内暴力の被害に遭いながら違法薬物に手を染める妻、援助交際に励みながら息子のいじめのドキュメンタリーをホームカメラに収め続ける父親、といった問題だらけの一家による家庭不和をテーマにした作品。。しかし、真面目に考えるというよりは謎の訪問者の男(彼は部外者としての他者の視点を導入するためのメタファー的役割だろうか。。?または観客の視点のメタファー?何とも不条理な存在であった。。)も登場し、ナンセンスな不条理ブラックホームコメディといった趣向である。
筆舌に尽くしがたい、三池的(と言えば語弊があるかもしれないが)な“テキトー”、“強烈”、“お下劣”といった形容が似合うのか、そういうご機嫌なバイオレンスとセックスが常に間を置かず映画に連なる。
そういう三池印の暴力映画のエネルギーを感じられただけでも見る価値はあっただろうか。
アリ・アスターも本作をお気に入りらしいが、やはり家庭不和をテーマにした自身の一連の作家性との親和を感じるからかもしれない。
未だかつてない映画体験でもあるだろうし、戦慄さえするが(キワモノ扱いされる節もあるだろうか)、終盤における犯罪と暴力の圧力が解放するようなクライマックスからの家庭再生(母性的な存在への回帰)への優しさにはカタルシスがあったか。
映画ファンなら一度は本作を見て、自身の映画への愛と忠誠と感性を試してみるのもいいかもしれない。。
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