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狩人の夜のsouichirouのレビュー・感想・評価

狩人の夜(1955年製作の映画)
3.9
子供についての映画でもあり、紛れもなく子供の視点からの恐ろしい大人についての映画でもある。
ロバート・ミッチャムの邪悪な存在感から充満する不穏な恐怖が全編にまとわりつく。彼が本作と同様に恐ろしい男を演じる『恐怖の岬』も気になってきたなあ。
あまりにも有名なロバート・ミッチャムが左右のそれぞれの拳に“LOVE (愛情)”と“HATE (憎悪)”の刺青を刻んでいる演出は、それと共に頻繁に引用される聖書のエピソードが象徴するように、神の存在と悪の根源の存在の拮抗を観客に問いかけているようでもある。
子供を追跡する殺人犯の不気味な演出はもはやホラー映画のようであった。
子供達が夜の川を下って逃避行する場面の静かで幻想的な美しさも本作の白眉だろう。
かのスピルバーグも大変お気に入りの作品らしいし、ジョン・ワッツあたりが影響を受けていそうだなあ。
紛れもなく傑作でした。。
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