大道幸之丞

ヒルコ 妖怪ハンターの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

ヒルコ 妖怪ハンター(1991年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

夏なので妖怪モノを観てみました。塚本晋也が「鉄男」の次に松竹富士よりの依頼で第二作目監督作品として諸星大二郎作品を撮った。元々塚本氏は諸星大二郎の大ファンであり「二つ返事で引き受けた」そうな。

諸星大二郎は世界観のイメージがしっかりあるので、映画化は基本的に難しい。しかし「鉄に取り憑かれた男」を撮り切った塚本晋也は諸星ワールド「異界モノ」に果敢に挑んだ。

原作「妖怪ハンター」の主役稗田礼二郎は黒いスーツに痩身、長髪の濃いキャラだが沢田研二を起用したのは正解だと思う。43才で男盛りの沢田研二は存在感も抜群だ。白いスーツで爽やかで少し間抜けで憎めない人物を演じているがこれはこれでいい、雰囲気も出ている。

この映画がヒルコの祟りのせいではないだろうが、工藤夕貴の実弟で主人公の工藤正貴はわずか4本映画を撮り引退。ヒロイン役の上野めぐみ(深山 凛)に至っては2本撮って引退と偶然にしては不思議に思える縁だ。

昨年に30周年を迎えたということでリマスター&リカバリー版の劇場公開とBlu-rayも発売されたらしい。劇中でヒルコ化した月島令子が登場時に口ずさんでいる「月の夜は」は耳に残るトラウマソングだ。

「青春ホラー」と呼んでもいいような、ひと夏の若者たちの物語でもある。
散々人が死んで、ヒルコに祟られてしまい元に戻ってはいないので、実は何ら解決してない気もするのだが、それは野暮というものだろう(笑)