月うさぎ

ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつの月うさぎのレビュー・感想・評価

4.0
ジョン・レノンの青春時代を描いた映画。
ビートルズファンの私ですが、その目で見てもこの映画は非常にGoodです。

エピソードは有名なものが取り入れられているものの、よいドラマになるよう、フィクションで演出してゆくさじ加減が巧妙です。

物語を「ビートルズデビュー以前」に絞り込んでいるので、ポールやジョージは完璧に脇役です。
これもとても惜しいんですよ。
もうちょっと似ている人を使って欲しかったな~~~と。
そうすれば、ビートルズ・ファンからもっともっと愛された作品になったはずなのに。
ジョンの美術学校時代もカットなので、親友のスチュワートなんか、名前しか出てこない有様。可愛そう。
映画では演奏をするためにハンブルグへ出稼ぎに行くってところでお話しが終わっています。
当然リンゴ・スターは影も形もありません。
スチュは当時はビートルズメンバーで、ハンブルグへも一緒に行ってるくらいなんですよ。ポールよりも仲の良い友人だった彼を無視とは。
だからビートルズファンにはとても残念な映画とされているのでしょうけれど、これは「ジョンの少年時代のドラマ」なんだから、それでいいのよ。とも言えます。
登場人物が増えれば増えるほど「ビートルズ」の話になってしまいますからね。

結論として、とてもセンチメンタルで美しい映画に仕上がっています。

あまり評価されてはいないようですが、主役のアーロン・ジョンソンはすごくいいですよ。
顔は似ていません。ハンサムすぎです。でも、目を伏せた表情や仕草、立ち方や喋り方(リバプール訛りや発声方法など)
恐らく本人を研究したと思われますが、きめ細かい演技が冴えています。
見ているうちにどんどん似ているように見えてくるのだから不思議。

『キック・アス』のアーロン・ジョンソンといった方が有名だと思いますが、両方見た人はびっくりすると思います。
顔から動き方から声の出し方まで、まるで別人です。
うまいんだな~と感心してしまった。

ジョンの不良っぷり、マザコンは有名ですが、それをこんなに美しいドラマに作れるんだから、映画ってすごいな。
ビートルズを全然わからなくてもOK
ノスタルジックで情感あふれる、青春ドラマになっています。

ひとりぼっちじゃないジョンの続編。
ビートルズ青春編も見たかったわ…

タイトルの“NOWHERE BOY”というのは、ジョンの作ったビートルズの名曲の一つ
NOWHERE MAN から取ったものです。
ジョンの話では、この「ひとりぼっちのあいつ」というのは
ポール・マッカートニーのことを歌ったのだと言っているのですが?
真実はジョンの胸の内に…。
月うさぎ

月うさぎ