Punisher田中

ほんとにあった!呪いのビデオ THE MOVIE2のPunisher田中のレビュー・感想・評価

4.1
「ほんとにあった呪いのビデオ」で投稿を行った映像がきっかけで知り合いが謎の症状で面会拒絶となっていることを悔やんでいる明日実。
「ほんとにあった呪いのビデオ」制作委員会ではその明日実の友人を救うべく、調査を進めるのだった...。

最高じゃねぇか...!!!!!
前作:the movieとは打って変わり、俺たちが観たかった原初の白石節が効きまくったフェイクドキュメンタリーの傑作というか傑作の原石。(ナニイッテンダコイツ?!)
前作は一つの投稿映像に対して追及していく構成だったが、対して今作は約5本の投稿映像に対して何らかの謎を追及していくのでテンポが良く、ぐんぐんストーリーを最短距離で突っ切っていく気持ちよさがあった。(誇張した書き方をしてしまったので補足、4本はかなりライトなアプローチなので、実際には1本か...?)
前作ではマイナスポイントだった""動""の少なさがかなり軽減されており、観点も俯瞰的ではあった前作と比べ、友達を助けたい一心で恐る恐るながらも怪奇と相対する明日実というキャラクターにピントを合わせているためか、話の骨子がしっかりしているように感じた。

白石晃士作品では、イマイチ得体の掴めない怪奇を1人のキャラクターを通してさらにぼかした存在にした上で描かれる。
そのため、どの怪奇も解像度が高くて低い曖昧な存在になった状態で僕らに届けられるのだが、そこが寧ろ良いところだと改めて感じた。
そのあやふやな情報こそが作品内部に於ける情報の余白であり、かのポケモン:メタモンの様にストーリー上でも受け取り手の想像上でも幾らでも姿形が変わる自由度の高い情報になる。
そういったストーリーなどに対して都合の良い様に且つ自然で流動的な仕上がりの情報処理の手法を取った原点が恐らく今作であり、実験的に情報を不透明にしながらも手段と結末の透明度は高くしてパランスを取る手法が今作で確立されたのでは。
個人的には粗削りで未だド真面目ながらも、リアリティとファンタジーの合間を上手いこと縫ってやりきった今作こそが彼のやりたかった真のフェイクドキュメンタリーホラーの第一号にして、ホラーの純度が彼の他作品に比べて高い傑作なのではないだろうか。

題名に2の文字が入っていようが気にせずに取り敢えず今作を観て欲しいぜ!!!!
個人的には原点的な部分も含めてかなり楽しめた作品だった。