10年ぶりに鑑賞。初めて観た時にラストで涙を流したのは覚えていたけど、なぜ涙したのかは思い出せなかった。
この物語の主人公は、どこか気弱で周りに流されてしまう、自分を表に出せず、人に合わせどこか自分を演じているところのある男。
そんな不器用なところは誰しもあると思う。彼も物語のほとんどの部分で、本当の自分を出せないまま、思い通りにいかない日々を過ごす。
映画でコミカルに演じるジャック・ニコルソンを見ている分には、他人事のように笑えるが、いざ自分が同じ立場になったらと思うと、正直笑えない。
ラストシーン直前まで、自分がなぜ涙したのかわからず、全く泣く気もしなかったが、ラストシーンを観て思いがけなく自然と涙が出てきてしまった。
そうか、あのシーンは、シュミットがそれまで自身を含め、人間の欲や見窄らしさを感じてきた中で、初めて純粋な心に触れ、初めて涙を流すシーンだったんだ。
どこか切なくも、ラストは心が少し暖かくなる。そんな素敵な映画は、10年ぶりに観ても自分にとっての傑作だった。
また、10年後に観てみよう。