ダンクシー

カルメンという名の女のダンクシーのレビュー・感想・評価

カルメンという名の女(1983年製作の映画)
3.6
「すべてが台なしで全滅しても日が昇って息ができるの」
「それは夜明けですよお嬢さん」

逃避行モノ多いな〜ゴダールは。何回観ても2人が惹かれ合う瞬間がやっぱり分からない笑 唐突すぎる&誇張してると思ったけど、まぁ現実の恋もこんな感じといっても過言ではないかも。
直接的な描写をせず、そういう行為があったんだなと分からせるテクニック。事後の会話がエロかった。カルメンが男子トイレで小便をするシーンでは、個室ではなく立ちションするところでしていたが、これがエロすぎる。これをオカズにしながらペロペロしてるおっさん、キモかったけど気持ちは分かる。カルメンがあまりにもエロスに満ちていた。

「奇跡を見せたいならまず実行。それが運命を貫徹する唯一の方法」

銀行強盗と警備員が銃撃戦を繰り広げる中平然と椅子に座り新聞を読む男、死体付近の血をモップで掃除する清掃員、トイレでの扉の開け閉め、などなどユーモアも結構あった。北野武は完全にゴダールに影響を受けているが、リアルにそぐわないユーモアやナンセンスさも、こういうところから参考にしたのだろう。

構成として、ベートーヴェンの"弦楽四重奏曲"や、海辺のカットがストーリーの合間に随時挟まれている。このツギハギのようにみえるカット割りも、ゴダールらしい。勿論、ただただくっ付けたという訳ではなく、タイミングが緻密に練られている。引き離されたと思ったら瞬時にグッと惹き付けられる感覚が終始続く。こういうところがゴダールの魅力だよな〜。
ゴダールの映画は基本ストーリーが分かりにくいが、本作は他作品と比べるとまだ分かりやすいと思う。感覚で感じる事も、話を追うこともまだしやすい。
ゴダール作品の中だとオススメです!
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