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アンディ・ガルシア 沈黙の行方の福福吉吉のレビュー・感想・評価

3.5
精神科医で心理学者のマイケル・ハンターは息子のカイルが自殺して以来、家族と離れて生きる気力に失くしていた。そんな中、マイケルの教え子のバーバラからトミーという少年のカウンセリングを依頼される。トミーは幼少期、父が母を殺害した現場を目撃して以来、施設に収容されていた。マイケルはトミーとのカウンセリングを継続していくうちに、亡き息子の姿を重ねていく。

息子カイルの自殺から始まり、そこから家庭が上手くいかなくなかったマイケルが心の闇を抱える少年トミーとのカウンセリングを通じてマイケル自身が息子カイルにしてやれなかったことを理解していく、という重い人間ドラマと並行して、トミーが抱える秘密を明らかにするサスペンスの要素が描かれており、観ている側にトミーに対して何らかの疑問が沸くようにして興味を持たせるようにしています。後半にサスペンス要素が強くなっていき、ストーリーを上手く盛り上げているように感じました。

マイケル(アンディ・ガルシア)は一流の心理学者ですが、息子の自殺により深く落ち込んでいます。父として当然の反応だと思いますが、残る家族を支えられない部分では少し失格かもしれません。こればかりは完璧を求めるのは酷ですね。そんな中、少年トミーのカウンセリングの依頼を受けてからマイケルに復活の兆しが見えてきて、私はマイケルを応援したくなる気分でした。髭マイケルも悪くなかったですが。

トミー(ヴィンセント・カーシーザー)というキャラクターは心の中に抱える秘密が終盤にならないと明らかにならない上、感情を表に出さないため、どこかきな臭いものを感じました。しかし、マイケルがトミーの過去の事件について話させようとすると、トミーは怒りの感情を爆発させており、その一瞬だけはトミーの心情をリアルに感じることができました。また、マイケルの娘・シェリー(リンダ・カーデリニ)と接触してトミーがマイケルの情報を手に入れているのも、油断のならない感じがして面白かったです。

なかなか面白い作品でした。ストーリーの締め方もわりと好きです。

鑑賞日:2023年4月18日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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