T太郎

アフターライフのT太郎のレビュー・感想・評価

アフターライフ(2009年製作の映画)
3.6
1009
クリスティーナ・リッチ主演でお送りする、サイコスリラーあるいはホラーか。
まあ、そんなやつだ。
アイデアが面白いし、雰囲気もいい。

しかし、モヤモヤが残る。
結局どちらなのだろう?
最後はそんな感想が頭を駆け巡る作品なのである。
一体、どういう事なのか。

説明しよう。

冒頭、アンナは大雨のなか車を走らせ、事故にあう。

気がつくと台の上に横たえられており、葬儀屋の男から
「君はもう死んでいる」
北斗の拳のケンシロウみたいな事を告げられるのだ。

納得ができないアンナ。
意識はあるし、言葉も発している。
自分は死んではいない。
家に帰らせて欲しいと懇願するが、ケンシロウは
「君はもう死んでいる」
と繰り返すばかり。

この葬儀屋の男は死者と対話できる能力があるという。
確かにアンナ以外の死者にも、何かと語りかけている。

そして、この葬儀屋自体も真っ当な葬儀屋に見えるし、男も別にサイコパスには見えない。

やはりアンナは死んでいるのだ。
演出上、動いたり話したりしているだけで、本当の本当に死んでいるのだ。
私たちは、まずそう思う。

しかし、次第にそうは思えない場面も顕れてくるのだ。
アンナは物理的に物を破壊するし、呼吸をすればガラスが曇る。
誰かが来るとなれば、何やら謎のお注射を打たれたり。

これは一体どうした事か。
実はアンナは生きているのか。
生きているとしか思えないではないか。

だが、そんな事が可能なのか。
警察や救急隊員や医師の目をかいくぐり、生者を死者に仕立て上げる事などできるはずがない。

アンナは死んでいるのか。
はたまた生きているのか。

そんな物語なのである。

私の中で答えは出ているのだが、そこは敢えて発表しないでおこう。
もったいぶるようで申し訳ないが、それだけはできないのだ。

なぜなら、外れていたら格好悪いからである。
私に恥をかかせないでいただきたい。
T太郎

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