一人旅

ローラの一人旅のレビュー・感想・評価

ローラ(1981年製作の映画)
3.0
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作。

ドイツの作家:ハインリヒ・マンの小説を原作としたスタンバーグの『嘆きの天使』(1930)を鬼才ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーが1950年代の西ドイツに舞台を置き換えて翻案リメイクしたドラマ映画です。

二次大戦終結から10年後、経済復興と建設ラッシュに沸く1950年代の西ドイツの小都市を舞台に、新任の建設局長:フォン・ボームと娼館で働く娼婦:ローラとの邂逅と男女関係のゆくえを描いたメロドラマ風味の恋愛映画で、地元の建設業界で幅を利かせている建設会社社長の情婦であるローラと、そうとは知らずローラにゾッコンとなった建設局長らが織りなす男女の三角関係を描いていきます。

娼婦という素性を知らないまま、一途にローラを愛してしまった生真面目な建設局長の純愛と公私混同の愛憎の暴走を、業務上利害関係にある二人の男とナチュラルに関係を持つローラの女としてのしたたかな生命力を軸に描き出した“戦後ドイツ+愛憎ドラマ”で、全編にわたる色彩豊かな映像感覚が鮮烈なイメージとなって脳裏に焼き付きますし、ドイツの女優:バルバラ・スコヴァが男を虜にする娼婦ローラを魅惑的に演じ切っています。
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