鹿田鹿雄

かぐや姫の物語の鹿田鹿雄のレビュー・感想・評価

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)
4.5
90点

かぐや姫の話自体はだいたい程度でも知っている人は多いだろう。
それなのに、1000年以上経ってなぜ高畑監督によって新たなかぐや姫の話が作られたか。今さら作る必要があるのだろうか。
そう思う人もいるかもしれない。私はそうだった。

まず、非常に凝りに凝った音楽と作画の素晴らしさ。水墨画のような作画の中に魂が込められ、すごく生き生きとしている。

そしてここからは中身について。
今作は”竹取物語”ではなく”かぐや姫の物語”、全部が竹取物語と同じというわけではない。
とは言っても基本の展開自体は変わらないが、未解決だった描写不足・疑問点を、高畑監督なりの解釈でできるだけ解消できるよう作られている。

”かぐや姫の物語”なためかぐや姫を軸として描き、今作だけに登場する人物たちとの里山での幼少時の生活・貴族の生活からのかぐや姫の心情がよく伝わって感情移入しやすく、かぐや姫・翁・媼の関係性や、「生きる」とは何なのかなど、誰にでも通じる普遍的な視点で考えさせられる。

現代にも繋がり、深く考えさせられる話を竹取物語から読み取った高畑監督の凄さに脱帽である。

展開を知っているからと言って食わず嫌いしないで全員に絶対に観てほしい、文句なしの傑作だと思う。
鹿田鹿雄

鹿田鹿雄