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魔女と呼ばれた少女の一人旅のレビュー・感想・評価

魔女と呼ばれた少女(2012年製作の映画)
3.0
キム・グエン監督作。

反政府軍に拉致され兵士にされた少女が辿る運命を描いたドラマ。

アカデミー外国語映画賞にノミネートされたカナダ映画の佳作で、紛争が続くコンゴ民主共和国を舞台に、反政府軍によって拉致され少年兵に仕立て上げられた少女:コモナが体験する12~14歳の出来事が彼女自身によって語られていきます。

アフリカの少年兵問題を題材にした人間ドラマであり、殺戮・誘拐・レイプといった少女の悲惨な体験と淡い恋模様の行方が、現実と幻想(少女が見る白い亡霊)をない交ぜにしたユニークな世界観の中に映し出されます。少女は村で両親と穏やかに暮らしていたが、ある日反政府軍の一群が村を襲撃し、少女に両親の射殺を強制した末に“少年兵”として利用するため少女を拉致してしまう。12歳の少女にとっては余りにも残酷で耐え難い現実。そんな中、少女は同じく少年兵のアルビノ少年:マジシャンと出逢い惹かれ合う。やがて死を悟った二人は反政府軍の手から逃れるため一緒に旅立つが…というお話で、少年兵として生きる少女の血生臭い現実と、肉体的にも精神的にも未熟な少年少女が織りなす淡い恋を対比的に見せ、“子供が戦争の当事者にされる”ことの残酷さと不条理性を浮き彫りにしています。

新人子役:ラシェル・ムワンザが悲惨な現実の中で強く生き抜く少女を熱演しています。彼女は元々コンゴのストリートチルドレンで演技経験ゼロだったそうですが、本作の演技が高く評価されベルリン映画祭で女優賞に輝いています。
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