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もうひとりの息子のTのネタバレレビュー・内容・結末

もうひとりの息子(2012年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

最近、イスラエルの豊かさと開放感、治安の良さにひかれてイスラエルが出てくる映画を見たかったので鑑賞。

ヨセフを一番追い詰めたのは、パレスチナ人の両親から生まれた事実ではない。今まで本当の息子として育ってきたのだから、今まで通り暮らせさえすればなんてことはない。問題はユダヤ教神父?の言葉だと思う。今までユダヤ人として生きてきたのに、両親がアラブ人だからユダヤ人と認めないとというのは、今までユダヤ人として生きてきた自分を否定されたようなもの。こういうのはユダヤ教の大昔からの教えで変えられないのだろうか?
ヨセフの父親がパレスチナ人に対して良い感情を持っていないのは、イスラエルの管理職軍人だからか。一般市民と比べて、イスラエル兵が全体的に意地悪が多いと感じた。自国民にすら評判悪そう。防衛において、相手への同情は自身にとってもイスラエルにとっても命取りになるから、徴兵期間にパレスチナ人への悪感情を叩き込まれるのか。

パレスチナ側の家族については、イスラエル人への悪感情を学校や父親から教わるのか、特に男性たちの感情が根深い。
パリ留学から一時帰国中のヤシンとその兄は仲の良い兄弟だったのに、ヤシンが本当はイスラエル人と知るや、「お前なんか弟じゃない」と言い切る。これはきつい。

敵対国人に対する感情が男女で明確に違う。ヤシンの家族をイスラエルに招いた際の父親同士の衝突は、殴り合いになるのではないかとヒヤヒヤした。男の方が受け入れるのに時間がかかるようだ。

あと、パレスチナでは、女性が意外と幸せそうだった。お母さんがきちんと男性にも家事を手伝うよう促していたし、夫婦対等に話すし、兄妹仲も良い。お母さんは家の中ではスカーフは外している。イスラム教といっても、色々で、パレスチナの女性はこちらが思っているよりも生き生きと暮らしているのかもしれない。
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