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フレンチアルプスで起きたことのTのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

映画を見る前に他の人のレビューを見ていたが、レビューと実際が全然違った。
レビューだけ見ると、妻があからさまにツンツンして、ひたすら夫がキツくあたられる映画なのかと思っていた。映画のラストでは夫と同じことを妻がして「どっちもどっち」といったレビューや、「どうしてホテルの人はジロジロ見てくるのか」というキツい書き込みもあったので、嫌な感じの映画なのかと思っていたが・・
妻は日頃から、仕事中毒の夫に愛されているのか不安に感じていた。そこであの雪崩。自分と子供を守ってほしかったのに逃げてしまったことで、愛されていないと感じて悲しくて情緒不安定になった。
夫は単純に「怖かったから逃げた。結果的に皆無事だったのだからもういいではないか。どうしてずっと怒っているのか?」と感じていた。しかしだからといって家族を大事にしていない感じではなかった。
何に重きを置いているのかが夫婦で根本的に違うことがギクシャクした原因だ。主人公である夫が娘よりも息子を可愛がっているという指摘があったが、女の子の方はあともう少ししたら子供感が抜けて思春期に入る頃だと思う。ヨーロッパの女の子は大人びているので、家族との距離感もあんなもんでしょう。
で、四方八方からまわりくどく妻に責められた結果、夫は追い込まれてギャンギャン泣いてしまい、妻は「夫を追い込み過ぎてしまった」と大分後悔。スキーバカンスの間、夫が妻や子供に無視されていたわけでもなく、レビューで書かれるほど悪い状況ではないと思った。ホテルの人が見ていたのは、多分フランス人は部屋着(というか半分下着)でホテルの廊下をうろついたり、廊下で言い合いをしないから(マナー的に)、「ああ、外国人観光客が何かやってるよ」と不思議に感じて眺めていただけだと思う。最後妻が夫や子供より先にバスを降りたのも、危険な乗り物が苦手なだけで、レビューで叩かれているほど逃げた感じではなかった。

気になったのが、北欧は男女平等が最も進んでいると言われているけど、意外に女性の方が立場が悪いと感じた。夫が逃げた件で妻が皆の前で夫を問い詰めた時も、全体的に夫がまともで妻が情緒不安定という共通認識が漂っていた。子供も大してお母さんの味方にはなってくれない。

話は変わるが、外で用を足したり、ユニットバスに他の家族がいるのに用を足したりというのは日本人はまずやらない。ヨーロッパ人家族のバカンスを垣間見れて面白かった。
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