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バルーン 奇蹟の脱出飛行のTのネタバレレビュー・内容・結末

バルーン 奇蹟の脱出飛行(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

脚色してなければ、ホントスレスレのところで逃げ切ったんだな。出発・実行が数時間、いや一時間でも遅かったら確実に捕まっていた。
主人公と長男は技術はあるんだろうけど、もっとうまく振る舞えなかったのかな。昔やってた2時間サスペンスドラマに出て来る「疑って」と言わんばかりの何か企んでいる人感出過ぎ。長男は賢いだけでなく、思春期の割に冷静だけど、好きな女の子に亡命を仄めかす手紙を出したり、西側亡命のことを言っちゃだめだろう。女の子の方でも多少は長男に好意があったのかな?そうでなければ、シュタージ(秘密警察)の父親を持つ娘だから、聞いたその場で父親の職場に電話で通報しそう。もしくは出発直前に亡命の話をされたから、通報することまで思い至った時にはもう彼らは気球に乗っている頃で、今話すと逆に父親の立場が危うくなるため言えずじまいだったに過ぎないのか。
しかし気球の実験をしている最中とか、台車を付けて車で移動中とか、亡命するまでよくバレなかったと思う。処方箋と布地の件でもう逮捕が目前だった。
かなりの知識を有する人がいたから成功しただけで、私のような知識を何も持たない者は大人しく1989年のベルリンの壁崩壊まで待つのが賢明だと思った。不便で窮屈な面はあるも、不満を口にしないよう心がければ、学校で学び、仲間と笑い、恋愛をし、結婚・家庭を持てる。皆で成人を祝ったり、親を慕い、家族を愛する心は東西関係無い。東ドイツの大都市への旅行や東欧であれば海外旅行にも行ける。西側の人と思ったよりも変わらない生活をしていると思った(西ドイツ側の方が相当に豊かだったと聞くが)。
東ドイツの秘密警察を見ていると、ナチスドイツの性格は東ドイツから来ているように感じた。ソ連統治の領域だからそんなはずはないのだろうが、何となく雰囲気が似ている。
それにしても東ドイツの人達は、1933年のナチスドイツ政権から、ベルリンの壁崩壊の1989年まで半世紀以上に渡って密告やら何やらで言論の自由の無い時代を生きていたのか。
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