T太郎

ザ・イーストのT太郎のレビュー・感想・評価

ザ・イースト(2013年製作の映画)
3.7
993
潜入捜査官物のサスペンス映画だ。
不思議とドキドキ感は少なかったが、面白かった。

ジェーンはヒラー・ブルード社という調査会社の調査員だ。
元FBIらしい。

このヒラー・ブルード社は企業からの依頼を受け、テロ組織や反体制派などの調査を行う。
その調査の一環として、ジェーンのような調査員がテロ組織などに潜入するのだ。

“ザ・イースト”という謎の環境テロ組織がある。
悪徳企業を狙って様々な攻撃を仕掛けるグループだ。

ジェーンはザ・イーストに近づくため、まず著名な反体制派組織に接近する。
そこから、つてを辿ってまんまとザ・イーストへの潜入に成功するのだ。

彼らの流儀はなかなか辛辣で過激である。

ある製薬会社が新薬を開発したのだが、これがひどい副作用をもたらすのだ。
なんと、自己を認識できなくなるらしい。
アイデンティティを失った人の中には、自死してしまう例も少なからずあるというのだ。

製薬会社側は、
「用量用法を守って、正しくお使いください。ピンポーン」
というのみである。(意訳)

「おのれ、許せん!」(意訳)
ザ・イーストは奴らに強烈な制裁を加えるのだ。

製薬会社のパーティーに潜入し、会社の上層部が飲むドリンク類にくだんの新薬を混入するのだ。

「自分たちが作ったお薬でしょ。
自信を持って国民にお届けしてるんでしょ。
だったら、平気でしょ」
(意訳)
てな訳だ。

乾杯の後、機嫌よくドリンクを飲み干す会社役員たち。
そして・・・・

ジェーンは為すすべもなく、このテロ行為を見ている事しかできなかったのだ。

そう、ザ・イーストのやり方は、ハムラビ法典の昔からお馴染みの“目には目を”式なのである。

ジェーンは調査員としての仕事を着々とこなしながらも、次第に考えが揺らぎ始める。
ザ・イーストのメンバーたちの思想に、共感してしまう部分が出てくるのだ。

果たして彼女の潜入調査は、どのような結末を迎えるのか。

悪徳企業が多少デフォルメされている感があるが、社会派的なメッセージが盛り込まれた、いい作品である。

以上!
T太郎

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