大道幸之丞

オール・ユー・ニード・イズ・キルの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

SFの「タイムトラベルもの」のなかでも「ループもの」と呼ばれるカテゴリ。原作は日本の桜坂洋によるイラストノベル「オール ユー ニード イズ キル」ただし設定は映画向けに変更されている

近未来戦闘モノを期待していたのでやや裏切られた。
構図としては「スターシップ・トゥルーパーズ」に似ている。宇宙から飛来したエイリアンは半流動性で機敏で凶暴残虐。コミュニケーションは皆無で人間はほぼ対抗できていない。

状況は劣勢で人類は存亡の危機に立たされている。

ウィリアム・ケイジ(トム・クルーズ)が主人公で、戦地と現在をループし経験と思考を蓄積していく。やがて戦地で出会った「救世主」と呼ばれる女性戦士リタ・ヴラタスキ(エミリー・ブラント)と共に幾度も時空をループし人類存続を懸けたこの戦いの勝機を探る。

ただしタイムトラベルをしているにも関わらず、主体はリセットされず、戦闘力も記憶も蓄積されている設定は本来SFと言えどもセオリー的には邪道であり、そこを縛りにしてドラマの緊張に繋げる事が多いのに、そのせいで「なんでもあり」になってしまっている。

その時点でドラマも「先回りして敵方の親玉をやっつける事で勝利するのだろう」事と、「ケイジとリタは恋仲に陥るのだろう」事は予想できてしまう。

そもそもタイムトラベルの仕組みと説明が省かれている。そこは何かしらの合理性は欲しい。

実際は双方一度死んだりするのに、時間を飛び生きている時点から流れを変えて救ってしまう流れは「ルール違反」に感じ議論のあるところだろう。

ただし、逆に言えばタイムループで経験値を蓄積するタイプのストーリーを新たに創出したとも言える。

ここでもわかることは「トム・クルーズが主人公の作品で死ぬ役柄はない」ということだろう。