T太郎

シンプル・シモンのT太郎のレビュー・感想・評価

シンプル・シモン(2010年製作の映画)
4.3
893
スウェーデン映画だ。
なんとロマンチックコメディである。
素晴らしく面白かった。

私は北欧のコメディをある意味、信用していない。

誤解を招きそうな表現で申し訳ないが、これは褒め言葉と捉えていただきたい。
全然、いい映画が多いのである。

見慣れたハリウッドのコメディとはかなり様相を異にしているが故の表現なのだ。
コメディと思って観ていたら、予想外の重いテーマやストーリー展開に
「こ、これは、笑って、いい・・・のか?」
となる事が多々あったからだ。

つまり、ハリウッド映画もしくはヒュー・グラント作品とは種類が違うコメディが多いのである。
(私調べ)

なぜ、いきなりヒュー・グラントの名前が?
それは是非とも本作を観てご確認いただきたい。
物語の中でヒューが実に重要な役割を果たしているのである。
(出演はしてないよ)

さすがヒュー・グラントだ。

おっと、何が言いたかったのか忘れそうだが、要はこの作品は北欧らしからぬコメディだという事だ。

主人公シモンはアスペルガー症候群の青年だ。
唯一信頼しているのが兄のサムである。

色々あって、彼はサムが恋人と暮らす家でご厄介になっている。

シモンは変化を嫌う。
毎日きっちり分刻みに予定を立てて、その予定どおり物事を進めていくのだ。

ところが、シモンの様々な言動に耐えきれず、サムの恋人が出て行ってしまう。

安定していたシモンの生活に好ましくない変化が生まれる。
これは嫌だ。
サムの様子もなんだかおかしい。

直ちに出て行った恋人の代わりを見つけなければ!

という事でシモンはサムの新しい恋人探しを始めるのだ。
“僕に耐えられるバカ女”を・・

そこで登場するのが、イェニファーという女性だ。
この子がまた実に素晴らしい女性なのである。

触れられるのが嫌いなシモンに何度も触れて、挙げ句に池に突き落とされたりするのだが、全く意に介さないのだ。
この辺のやり取りは実に楽しい。

シモンはサムとイェニファーを結びつけようと、ある計画を実行に移す。

ヒュー・グラントの力を借りて・・・
(出演はしてないよ)

さすがヒュー・グラントだ。

ヒュー・グラントの好感度だけが上がる展開だが、ここらで私の好感度も上げておく必要があるだろう。

実は私、コンビニでペットボトルを捨てる時、キャッブとラベルを外して捨ててます。

リサイクルされるのは、キャッブとラベルがないペットボトルだけだと聞いた事があるもので・・

いや、何もそんな!
歓声や拍手が欲しくてやっている訳ではないんですよ~。
ただ、当たり前の事をしているだけですから~。

さて、私の好感度が爆上がりしたところで話を戻そう。

シモンの計画どおりサムとイェニファーは恋人同士になれたのか。

イェニファーを疑っていたサムも次第に打ち解け、笑顔で接するようになる。
イェニファーがシモンに対して、何ら悪意を持っていない事を知ったからだ。

ラスト数分が実に素晴らしい。
こんなラブストーリーもあるのか。

アスペルガー症候群を殊更、否定的な病として描いておらず、一つの個性として表現している。

実際、周りの人たちは大変な苦労もあるのだろう。
そこを丁寧に描きつつ、カラッと明るい作品に仕上げた製作陣に拍手だ。

是非とも皆々様の記憶の片隅に留めていただきたい作品である。

私のペットボトルの挿話とともに・・・
(なんか色々台無しやね)
T太郎

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