ぷかしりまる

エレファントのぷかしりまるのレビュー・感想・評価

エレファント(1989年製作の映画)
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歩く男の背中が映る。彼はターゲットを発見し発砲する。男は去り、死体が映る。その繰り返し(冒頭のプール更衣室での射殺が最も印象的だった。ラストは殺害の後に死者ではなく、銃弾が貫通した脳から吹き出した鮮血が、白い壁に飛び散っている様子が映される。)
イギリスのテレビ放送用の作品だが映画の様に構図が決まっており、青みがかった色調も美しい。政治的対立からの暗殺を扱った作品で、ガスヴァンサントの同名作品の元ネタと言われている。テレビを点けて突然この映像を観たのなら、何事かと腰を抜かすだろう。しかし淡々と殺人が繰り返されるのを観ているうちに、それが特別なことではない様に思えてくる。まるで事務作業のように暴力行為が働かれているためだ。死を非日常として特別視すること、賛美することはもはや意味を成さないように感じた。