ぷかしりまる

歌う女・歌わない女のぷかしりまるのレビュー・感想・評価

歌う女・歌わない女(1977年製作の映画)
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中絶の権利主張や、男女間の家事分担についての示唆など、意味がある映画ということは確か。

「海外行ったらなんとなく雰囲気に呑まれたから、夫に子供を引き剥がされるから、子どもをつくります」という論理はいまの自分にとって恐ろしく感じたが、必要なのは、そのようにして生まれてきた子どもとその母親が、ふつうに生きていける社会の制度だ。

女は女同士で支え合うので男は不要ですが、必要ですっていう論理は、この映画では男女の役割が分かれすぎていてプロパガンダみたいだった。作中では描かれないが嫌な女も存在するし、男とは性関係が全てではない。
50年前の映画にこんなことを言うのも野暮だが、現在では、男/女という区別もすでに意味がなくなってきている。

アニエス・ヴァルダと波長が合わないな、と感じていたが、この映画の場合、男と女を結びつけるものがセックスという根底の思想に対して、疑問を抱いたためだ。(多分女の性欲という、フェミニズム的な流れにあるんだと思うけど)
さまざまな形の親密さの原因が、たんにセックスに収斂してしまうのなら、つまらないと思っている。