ハイ

トイ・ストーリー4のハイのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
3.8
前に映画館で鑑賞。視座によって感想が変わる、難しい映画だなあと見たとき思った記憶があります。
※以下ちょっと長いです。


あえて括るなら、ウッディとアンディの友情が描かれ続けた1~3は、おもちゃのアイデンティティに寄り添った成長物語、4ではそのアイデンティティの揺らぎをきっかけに、おもちゃという存在が属さなくてはならない掟を変える、自立の物語ということになるのかなあと……。

個人的にはおもちゃたちにだって遊ばれたい・自由になりたいなど個々に思いがある、さあお前はどうする?と、悩むウッディ個人にカメラが寄る展開は上手だなあと思いました。
だからこそ今作のラスト、彼が選んだ結論は制作側が「ウッディ」という存在を最大限尊重した結果なのは本当に伝わりますし、現状考えうる最高のハッピーエンドでもあるとは思います。
なにより、作品の両軸として機能していたウッディとアンディの別離・喪失を描いた大名作3のあとに、こういうストーリーで挑戦を続けるピクサーは本当に素晴らしいとも思います。

ただ、上記にあげた内容は、そのまま今作の弱点になっていたようにも感じます……。
このシリーズはおもちゃの目線で作られてはいるものの、本質としては鑑賞者が幼少期の懐かしさに浸る・感情移入しながら見るのが肝だと感じているのですが、 4ではこの点が大幅に抜け落ち、どこか乾いたテイストになっているように感じます。
私のなかで、ここらへんが作品に対する違和感に繋がっているのかなあと……。

もちろん、ウッディの物語として4は必要だと思うし、やりたいことも伝わってくる素晴らしい作品だと思います。
ただトイ・ストーリーシリーズの続編として出されたとき、私は自分の思い出等を重ねつつ鑑賞する、従来のスタイルを求めていたところがあるので、観たあとに気持ちがモヤモヤしてしまったのは事実です。
正直なところ、4については別キャラを立てた外伝扱いで世間に出して、反応如何で本編のキャラクターにも繋げていくという段階を踏んでもよかったのではないかなあとは感じました。

テーマやおもちゃや自分の思い出といった、色んなことを思うことができたという点も含めて、観てよかったです。
ハイ

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