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ガールズ・ステップのryotaのネタバレレビュー・内容・結末

ガールズ・ステップ(2015年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

最初に観た時は全然ピンとこなかったのですが、あらためて見直してみるとこれがなかなかの青春映画であることにようやく気づきました。だいぶ、イメージ(ダンス映画)と違った内容で、感心すると同時に、ドラマをもっと深掘りして見たかったなあと、ちょっと残念。

この作品はラブコメではなくて、言ってみればスポ根ものです。ダンスを頑張る女子高生のお話ではありますが、ダンス自体は正直それほど上手くもなく、むしろ滑稽なくらいの辿々しさです。展開としては、一生懸命練習して、ラスト、大会に出場してそれなりに盛り上がるのですが、結果は努力賞。明らかに「チアダン」とは違って「優勝目指すぞー」みたいなことにはなりません。ただ「みんなで楽しく踊ろう!」なんです。この映画、実はダンスっていうのはあくまでもきっかけで、5人それぞれ抱える境遇だったり高校生らしいデリケートな悩みを共有して、一緒に頑張ることに焦点を当てているのが特徴で、そこが素敵なんです。

主人公のあずさ(石井杏奈)は仲間はずれになるのが怖くて誰にでもいい顔してしまったり、愛海(小芝風花)はボッチが嫌で出会い系であったサラリーマンに妊娠させられたり、葉月(小野花梨)は父親がいなくて弁当屋を手伝っていて家計が苦しい、環(秋月三佳)はガリ勉と呼ばれるも親の期待には応えられないでいて苦しんでいたり、美香(上原実矩)は高校に馴染めないヤンキーだったりと、それぞれの環境・境遇・性格と思いががあります。そんな時に「一緒にやろう!」と声をかけてくれたことが「一生忘れない」と言った環のセリフにあったように、友達がいれば乗り越えられる、友達と一緒に好きなことを思いっきりやるってのがいかに人を元気にさせ、悩みを乗り越えさせて、生き生きさせるか、みたいな青臭いテーマを惜しげもなくキラキラとやってのけてるのって、なんかいいじゃないですか。若い俳優たちが一生懸命演じてるものある意味好感持てるし、清々しいです。だからなおのこと、その辺りのバックボーンをもっと深掘りしていったら、もっとグッとくる青春映画になったのになあと思ったりしました。5人いてさらにコーチだったり主人公の隣に住む幼馴染(磯村勇斗)まで出てくるとどうしても追いきれなくなってしまったところがあります。まあそれでも、愛海の流産をきっかけに結束していくあたりはちょっとグッときたし、爽やかなエンディングもとっても良かったので、ラブはほぼないですけど甘酸っぱい青春映画には違いなく、とっても爽やかに楽しむことができました。

ちょっと上にも書きましたが、出演者がまあフレッシュなこと。8年前の映画ですので、その原石を楽しむという意味でも楽しい映画です。石井杏奈は映画初主演で、まだクセのない正直なお芝居をしてます。小芝風花は今時のコメディエンヌ芝居は全くないものの、それこそ光る前の原石を楽しめます。小野花梨も磯村勇斗もフレッシュそのもの。そういう意味でも貴重な映画かもしれません。

地味な女の子たちが頑張る姿を応援するつもりで見たら、こちらも心が洗われます。たまにはこういう映画見なきゃね。
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