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石のゲームのくりふのレビュー・感想・評価

石のゲーム(1965年製作の映画)
3.5
【時計じかけのロック・ミュージカル】

シュヴァちゃん公式には三本目の映画。ストップモーション・アニメを全面採用するのは本作からか。そのせいか、シュヴァ映画のプロトタイプ的味わいがありますね。

やがて壊れる自動装置、というのがまず、シュヴァ印。チェコって国自体が昔、そうだったんだ…と思わずにはいられない。

石だけで、どれほど柔らかく楽しいアニメーションを作れるか、挑戦したものか。石の拡大は多分、サイズ違いの石を用意して撮り、クレイは使っていないようですね。

映像の楽しさだけを見れば、NHKの子供番組とも受け取れる。しかし、踊らされた石たちは唐突に、捨てられてゆく。社会への評価を、シュルレアリストとして語っているようだ。

そして、搾取を基盤としたシステムは、自重を支えきれなくなる…。

改めて見返すと、広告写真のような美しさを湛えている。でも、被写体はただの石ころってところがまた、面白い。有能な人が、無能の人のフリをしている。

路傍の石に美を見る想像力を、失いたくないもの。シュルレアリスト、いい仕事してます。

<2024.1.2記>
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