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サイコ・スリラーだ。
やはりこういう作品の常で評価は高くないようだが、私は非常に楽しめた。
かなり面白かった。
ジェームズ・フランコの「127時間」とルトガー・ハウアーの「ヒッチャー」を足して2で割って、更に「ソウ」を少々加えた感じだ。
一体どんな物語なのか。
説明しよう。
主人公はマリッジブルー気味のマロリーという女性である。
結婚式を2週間後に控え、婚約者が住むデンバーへと車を走らせていた。
途中、車が故障して立ち往生するのだが、助けてくれたのがクリスチャンというハンサムで感じのいい青年だ。
徒歩で旅をしているらしい。
マロリーはお礼かたがた彼を車に乗せてあげる。
だって、ハンサムで感じがいいんだもの。
・・と思ったかどうかは知らないが、とにかく乗せてあげたのだ。
だが、これが悪夢の始まりとなるのである。
程なくクリスチャンはサイコパスな顔を露わにするのだ。
マロリーの車はガードレールを突き破り谷底へと転がり落ちてしまう。
車は天地逆さまの状態で止まり、マロリーは身動きのとれない状態に陥ってしまうのだ。
よく分からないのだが、左足がドアと座席の間に挟まってしまったようなのである。
車体の重み自体も加わっているのだろうか。
どうにもこうにも全く抜けないのだ。
誰の助けも望めない状況下でマロリーのサバイバルが始まるのである。
皮肉な事にシートベルトをしていなかったクリスチャンは車外に投げ出されたものの、かすり傷程度で助かるのだ。
彼は高笑いを残して去って行く。
果たしてマロリーの運命や如何に!
物語はこの車中でのサバイバルと脱出してからのクリスチャンとの戦いに大別される。
そう、脱出するのだ。
この脱出の仕方がいい。
偶然と言えば偶然なのだが、ご都合感が薄い。
私の中では理にかなっていて不自然さは全くないのである。
他にも感心した場面は多々ある。
一つあげるとすればネズミの使い方だ。
恐怖の対象として登場したネズミをこの後2回使い回すのだ。
全く別の用途で。
工夫が伺えて嬉しくなった。
低予算映画でも工夫次第で面白くできるのである。
クリスチャンが思った以上に凶悪な男で少々怯んだのだが、意外とあっさり片がついたので拍子抜け感もあった。
本来サイコパスは、もっと粘り強くしつこいものなのだ。
情けないぞクリスチャン!
私は車中でのサバイバル場面が特に面白かった。
前述のネズミの件を含めて。
一体何日間を耐えたのだろう。
寒さ、蟻やネズミの襲来、飢えや喉の渇き。
様々な問題が持ち上がってくる。
マロリーは極限の状況下、それらを乗り切っていくのだ。
実に素晴らしい。
だが、私はこういう物語でいつも気になる事があるのだ。
うんこはどうしているのだ?
便秘などという言い訳は通用しない。
必ず粗相をしているはずなのだ。
私はお腹具合に多少の不安を抱える人間なので、そこは非常に心配しながら見守っていたのである。
心配が過ぎるだろうか。