T太郎

ブラック・スワンのT太郎のレビュー・感想・評価

ブラック・スワン(2010年製作の映画)
4.1
879
再鑑賞

非常に面白いし、ナタリー・ポートマンの演技に脱帽せざるを得ない作品だ。
オスカー受賞も納得の演技である。

一瞬たりとも退屈する事のない、極上のサスペンス&ドラマだ。
こういうサスペンスの作り方もあるのだという事を知った。

ちょっとネタバレになるかもだが・・

「事件は現場で起きているんじゃない!
主人公の脳内で起きてますねん!」

そんな名セリフが思い浮かんできたのである。
(どんな名セリフやねん)

バレエダンサーの物語である。
主人公は才能に恵まれながら、控えめな性格が災いして苦悩している。

主役に抜擢されたのだが、なかなか思うような演技ができない。
彼女は次第に追いつめられていくのだ。

そんな主人公に絡んでくる3人の登場人物。

まず、バーバラ・ハーシー扮する母親だ。
最初は非常に仲のいい母娘に見えた二人の関係性が、次第に露わになっていく。
母親の異常な過保護ぶりが明らかになっていくのだ。

だが、彼女は主人公の母親だ。
主人公を傷つけたり貶める気は全くないのだ。
彼女の存在が、果てして主人公にどのような影響を与えるのか。

次にヴァンサン・カッセル扮する舞台監督だ。
女性関係で噂の絶えない人物ながら、一流の演出家でもある。
彼が主人公を抜擢し、厳しいレッスンを重ねていく。

明らかにセクハラと思われる行為を連発するのだが、最後まではいかない。
主人公のパッションを引き出すための手段だったようだ。

最後にミラ・クニス扮する同僚ダンサーだ。
彼女の立ち位置が非常に分かりにくい。

主人公に憧れと好意を持つ一善良な後輩ダンサーなのか。
主人公を蹴落として、のし上がろうとしている野心的な人物なのか。
ここが不透明なだけに、よりサスペンスが盛り上がったように感じる。

私は芸術全般には非常に造詣が深いのだが、唯一バレエだけは門外漢なのである。
なんせ、クラシックバレエとモダンバレエの違いさえ知らないのだ。

それどころか、バレーボールとの違いも甚だ怪しいのである。
この作品を観ながら、いつアタックを決めるのかハラハラしていたりしたのだ。

そんな私だが、ナタリー・ポートマンのダンスシーンには感心させられた。
とてもお上手なのだ。
バレエ経験があるのか、撮影のために猛特訓をしたのか。

非常にお上手なので、是非ともその目でご確認いただきたい。
T太郎

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