T太郎

イレブン・ミニッツのT太郎のレビュー・感想・評価

イレブン・ミニッツ(2015年製作の映画)
3.6
881
ポーランド映画だ。

タイトルどおり11分間、17時から17時11分までの出来事を描いている。
様々な登場人物たちの11分だ。

最終的に17時11分に衝撃的な出来事が起こるのだが、そこに向かって登場人物たちが集結してくる。

淡々とした出来事が積み重なり、最後に大爆発!
そんな作品なのだ。

だが、登場人物たちはそんな事など夢にも思っていない。
自分の今に手一杯なのである。
自分だけのドラマを生きているのだ。

それぞれに何やら事情があるようだ。
よく分からないが、深刻な事情を抱えている者もいる。

細切れのドラマが延々と続いていく。
深く掘り下げていないので、あまり没入はできないが、徐々に彼らを識別できていく。

そう、失礼ながら全く存じ上げない俳優さんばかりなのである。
男性は漏れなく髭をたくわえているのだ。
最初は誰が誰やらなのである。

そこを乗り越えて・・・
というか、私は何度か巻き戻して確認しながら鑑賞したのだが。
・・観ると俄然面白くなってくる。

あ、いや、失礼。
識別できたとて・・・・というご意見もあるだろう。

確かにそうだ。
各登場人物の何やら意味ありげなエピソードの切れ端は、ラストシーンとは一切関係ないのだから。

しかし、ある程度思い入れのある人物が、ラストでどのような結末を迎えるのか。
これは気になるのではないだろうか。

その思い入れを培うためにも、目を皿のようにして・・
マイセンの・・・
いや、信楽焼の皿のようにして登場人物たちを見極めていただきたいのだ。

髭に惑わされてはならぬ。

なんか回りくどい言い回しになっているが、私的には面白かった。
ラスト良ければ全て良しなのだ。

衝撃的なラストに乞うご期待である。

       蛇足

この作品、複雑で運命的な何かを描いているようで、実はそうではない。
こういう事は誰にでも起こり得るのだという事が言いたいのだ。(多分)

人は皆それぞれ、様々な悩みや向上心や邪な思いや使命感や信仰心・・・
常に何かしら考えながら生きている。

それが、突然の死によって瞬時にシャットダウンされる事もあるのだと。

自分だけのドラマなどあり得ないのだと。

だから、空に浮かぶ黒点とか意味ありげなモニター画面のシーンなど、SF的な設定はいらないと思いま~す。
すんませ~ん。
不要だと思いま~す。
ごめんね、ごめんね~~
(個人の感想)
T太郎

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