ポンポコ

ザ・シェフ 悪魔のレシピのポンポコのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・シェフ 悪魔のレシピ(2016年製作の映画)
2.1

このレビューはネタバレを含みます

ストーリー

移民の主人公はかなり治安の悪い地域で小さなケバブ店を父親と経営している。
薬中や酔っ払いなどが客層のほとんどを占めており小さなトラブルは多いがなんとか経営はできていたのだがある日、酔っ払いとの口論で父親が殺されてしまう。

失意の主人公の店にはあいも変わらずろくでもない酔っ払いの客が訪れる。
その男が勝手に厨房に入り食材を食べ始めたため、主人公は止めようとするが勢い余ってフライヤーに押し付け殺してしまう。

とんでもないことをしてしまい動揺する主人公だが父親を殺した酔っ払いたちやこの客の横暴な態度を思い返し後悔は消えていく。
死体を処理するために細かく肉をミンチにし、ケバブの材料にすることを決める主人公。
食材にならない衣類は海辺に廃棄し、持ち物の携帯などは店の倉庫に隠すことに。

その後も横柄な客たちを殺してはケバブの材料にし7年の月日が経った頃、主人公は二人の人物と出会うことになる。

一人目の人物はこの街で有名なクラブを経営するオーナーである。
ひょんなことからこの男がクラブ運営だけでなく街で薬物の売買を行い大きな利益を生んでいることを知った主人公。
オーナーの薬とクラブのせいで街には酔っ払いと薬中が蔓延り、その結果が父の死であると考えた主人公はオーナーを殺すことを決める。

二人目の出会いは同じく移民としてこの街で暮らす少年。
彼は主人公の殺しを「移民を迫害する者への裁き」だと勘違いし殺しを手伝いたいと主人公に接近する。
しかし、主人公はそこまでの覚悟や崇高なものを持って殺人を行っていないため少年を拒絶する。

主人公が自分の理想とは程遠いただの殺人鬼だと思った少年はオーナーに主人公のことを密告する。

主人公はそれを悟り、今まで殺してきた被害者の所持品を全てオーナーのクラブへと持ち込むのだった。

その後、主人公が自分を殺そうとしていると知ったオーナーは主人公を拉致。
散々痛めつけられた主人公は路上の片隅で息を引き取る。

その後、オーナーのクラブから大量の行方不明者の持ち物が発見され、状況証拠からオーナーの関与は疑いようがないと報道されるのだった。


感想
パッケージとタイトルからB級スプラッターをイメージしていたが全く違う方向性の作品でした。
主人公は狂気的に街の人間を殺してはケバブにするイカれた料理人かと思いきや、むしろ真っ当な青年であり殺しにも躊躇や葛藤が多々みられました。
勿論殺しをした時点で善良な人間ではないのですが、作品内の街は終わってるとしか言えないものでこんな街で暮らしていたら主人公のようになる気持ちも何となく分かってしまうような気分になりました。

しかしながら、どうにも行動原理が理解できない場面もあり、好意的に解釈するなら人間らしい主人公なのですが物語としては行動一つ一つに理由がないことが多いため「なんでこんなことしてんだ?」と首を傾げる結果になっています。

移民や時代的な世相を反映しているようですが、そういった部分に疎い自分が見たのもそう感じた大きな要因かもしれません。

全体的に暗い雰囲気と突発的な行動を繰り返し破滅していくバッドエンドなストーリーは自分の口には合わなかったですね。