みあせぶ

ロニートとエスティ 彼女たちの選択のみあせぶのレビュー・感想・評価

4.3
不服従


主演がWレイチェルということでずっと観たかった作品。厳格な宗教の教えと自由の間で葛藤する2人の女性を描いています。

LGBTQの恋愛映画は『君の名前で僕を呼んで』『キャロル』などなど最近も名作が多いですが、今作も然り。恋愛の行方がどうなるかということに加えて、宗教と向き合う人間の物語としても十分な内容の映画でした。

2人の過去回想シーンがないのでどう言った経緯で恋に落ちたとか二人の間に起こった出来事は読み取るしかないのですが、そのように視聴者の想像力に委ねているのが結果的に良かったのかなと思います。演技派の2人なので再開で想いが溢れ出てきてる感じが目いっぱい伝わってきて私まで嬉しくなりましたね。

私は特に信仰している宗教がないので、宗教を心の拠り所というイメージで勝手に捉えていますが、救いである宗教が本人を苦しめてしまっているのが何とも悲しかったです。世間体もあるので「良き妻」をニコニコと演じるエスティには心が痛みます。恋愛対象が女性だけなのに結婚して妻としての務めを果たすなんて…

エスティは自分のコミュニティを飛び出して自由を重視しているように見えましたが、NYでの生活は満たされてるようにも見えず、地元へ帰ったところで歓迎ムード0だったので居場所が本当にないのが可哀想でした。
ロニートもエスティも別れてから自分の道を歩んでいたものの、なにか足りていないような気がしていたんだと思います。だから互いを求めちゃうわけですねきっと。

クライマックスは意外でしたが、3人のハグがこの映画の中で1番美しかったと思います。「赦し」と「許し」が私の目には見えました。
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