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ジュリアンのTのネタバレレビュー・内容・結末

ジュリアン(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

横浜で仕事が終わった後、新宿の映画館まで観に行ったのが2019年1月下旬。2年ぶりか・・

子供は辛いね。よく大人は子供時代に戻りたいと言うけど、子供は色々権限が無く不自由だ。最低な親の元に生まれても年齢的に逃れられない。映画序盤からそれが顕著だ。「妻が子供を操っている・妻に悪いことを吹き込まれている」という可能性も世の中を見渡せば多々あるかもしれないが、まずは子供の意見を尊重しようよと思う。

父親と過ごしたいと思っているなら、子供はあのような文章は書かない。
必死で会いたくないと訴えているのに受け入れられない事が子供が色々権利を持てない事を象徴している。妻も精神的に追い詰められて辛いだろうが、いつだって犠牲を強いられるのは小さな子供。
ジュリアンが18歳になっていたらこんな辛い思いをしなくて済んだのに。姉のジョゼフィーヌが幾分自由なのを見てそう思ったわ。
(お姉さんも母親を心配してないわけじゃないと思うが、平穏が保てない家庭から逃げ出したかったんだろうね。多分駆け落ち。)

見ていて日本の家族像と違うなと思ったのは、夫側の両親が意外と普通な事。日本で同じ事があったら夫側の両親は妻の方に問題があると言って責め立てるだろう。夫の父親に多少の男尊女卑感があり、母親がうまく受け流すことで事を荒立てずにやってきた感じはするし、アントワーヌの暴力性は父親の影響も感じられるが、それでも孫の顔が見たい普通の両親で、息子の非も認めている。

フランスではどんなに暴力的な夫でも、家族間の事は家族だけで話し、妻の妹や両親とは完全に切り離して危害を加えてこないが、
これが日本だったら、妻が実家や兄弟の家に逃げ込んでも家の中まで乗り込んできて、下手したら放火・刃物で殺傷もしかねない。

とにかく「夫が暴力をふるう」のか「妻が嘘をついている」のかは置いといて、子供の意見を一番に尊重する世の中になってほしい。
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