眼鏡の錬金術師

ジェロニモの眼鏡の錬金術師のネタバレレビュー・内容・結末

ジェロニモ(1993年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

アメリカ大陸が発見され、ヨーロッパ人が17世紀頃から次々と植民をはじめ、先住民であるネイティブアメリカンを虐殺しまくったのが今のアメリカのはじまりである。
元々船でアメリカ大陸に行くこと自体リスキーであり、そこに向かう者は荒くれ者のマインドを持っている者が多かったことだろう。そもそもヨーロッパで良い暮らしが出来るなら命を懸けて新大陸に出る必要がない。
そんな荒くれ者たちに虐殺され、土地を奪われたネイティブアメリカンたちに思いを馳せれば悲哀を感じざるを得ないが、これも生態系(生存競争)の大きなうねりなのだとしたら、そういうものとして受け止める必要もあるのかもしれない。アメリカ建国のとき以外でも歴史のあちこちで虐殺を繰り返すのが人間だ。人間の性とでも言うべきかもしれない。

本作の舞台は19世紀末、最後のネイティブアメリカン、ジェロニモに焦点を当てた作品。日本でいうと明治に突入したあたりだろうか。

投降したジェロニモを保留地へ護送したはいいがすぐ管理できず、反乱。抵抗を続けるジェロニモを追撃する役割を担った中尉とジェロニモとの立場を越えた友情と、ラストの無情感が象徴的だ。

「これだけ広い大地に安住の地がなぜ無いのか。なぜ白人は土地を欲しがるのか。」というジェロニモの言葉が胸を打つ。完全に価値観が違うのだ。共存は難しかったろう。
まさに資本主義のパワーが狩猟採集民族を討ち滅ぼす瞬間を切り取った作品で、勉強になった。
この出来事を知って、私たちが自分達の身の振り方を振り返れたらちょっと良いのかもね。

内容はヘビーだが、全体的に馬がかわいい映画。馬好きにはたまらないだろう。
騎兵隊もすげー。こんだけリアルの馬使って撮影するの大変だったろう。
あと銃撃つときに、瞬時に馬を寝かせて身を隠しつつ、発射台みたいに使って撃つのがかっこ良かった。こんな風に馬って扱えるのかとびっくりした。