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英雄は嘘がお好きのTのネタバレレビュー・内容・結末

英雄は嘘がお好き(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

観た価値あった。最後はスカッと楽しくて、観て良かった。
19世紀初頭の豪華な貴族の調度品や衣装が楽しめた。
17~18世紀の貴族の衣装(三銃士やマリーアントワネット、モーツァルトの時代)が一番好きだけど、ナポレオン時代の衣装も思ったよりずっと素敵だった。この後書くが、終盤のコサックとの闘いが最も気分が上がった。

ジャン・デュジャルダン演じる調子のいい法螺吹き・ヌヴィル大尉が美味しい所を全て持っていくので、メラニー・ロラン演じるエリザベットのような真面目で現代的な女性観を持つ人にとっては中盤イライラさせられる。
18世紀フランス貴族社会を舞台にした「危険な関係」でも思ったが、この時代に女性が男性と張り合っても圧倒的不利というか社会的に勝ち目がない。例え素晴らしい才能のある女性であっても。その男が世間から嫌われていて、抹消したいと願う多くの地位ある男性を味方に付けない限り難しい。
この映画でもエリザベットの父親はおろか、母親までが娘の言うことをまともに取り合わない。父親は男だから男性の味方をするのは時代的に仕方ないが、女性である母親が娘の気持ちを理解しないのはいただけない。こんな母親の何を尊敬すればいいのか?しかし時代的に親へは絶対服従をなんだろうな。この時代に現代女性の感覚を持っていると不幸だな。寧ろ殴られるのに快感を覚える妹のような女性の方がこの時代を上手く生きられるのかも。

物語中盤まで、ヌヴィル大尉に対して、「何とかこの男をギャフン(←古い)と言わせられないか」と思っていた。
ここでエリザベットが大反撃に出るが、ヌヴィル大尉のウソがバレると、ちょっとした処罰では済まないことが分かり、根は鬼じゃないエリザベットは自身のした事を後悔、身を挺してヌヴィル大尉を守ろうとする。
緊迫した晩餐シーンでヌヴィル大尉の話を聞いていた将軍が、「厳しい戦場を潜り抜けてきた人」感が出ていてカッコ良かった。

終盤、ヌヴィル大尉に対して感じていた不快な気分を払拭する出来事が起こった。突然コサック兵(中国兵のような恰好をしたロシア人?)の大群が屋敷を取り囲んだのだ。

逃げ出そうとするヌヴィル大尉に見損なった顔でさよならを告げるエリザベット。ここで心境に変化が・・銃を構えたヌヴィル大尉が勇敢にも一人でコサック兵の大群に立ち向かったのだ。しかし流石に一人では数人倒すのが精一杯。ピンチの所へフランス軍が加勢。短い戦闘シーンだったけど、ヌヴィル大尉もフランス軍もカッコ良かった。きっとエリザベットはこのシーンでヌヴィル大尉に惚れたんだろうな。

最後はハッピーエンド。とはいってもエリザベットがヌヴィル大尉との戦いに負けたのではなく、「対等なパートナー」として両思いになったのがスカッとした。

最後に・・妹婿の二コラが割と顔がタイプだった。意外と銃の腕前があるのもポイント。
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