Mia

家族を想うときのMiaのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
4.5
家族が崩壊するのではなく、崩壊に向かう中で必死に一人一人がもがいて繋ぎ止めようとしている様子が、リアルで苦しくて辛い。

家族一人一人が「私のせいなの」「俺のせいなのか」と問題の所在を内面化していく様子がいたたまれない。誰のせいでもないし、社会が生み出した綻びが自らによって個々に帰せられていくのをシンプルに描いていて、本当に見てられないほど苦しかった。

「自分で選んだんだろ。」
ドライバーに就く時にも、セブに責められる時も、今の状況が自分で導いた結果だと言われ続ける。
ネオリベ社会は少なくとも、こうして良くも悪くも自分で引き受けなきゃいけないものが多すぎる。逃げ場のない社会になっていきそうで、本当に怖い、他人事には思えない。

現実を静かに淡々と突きつけるケン・ローチ、脱帽
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