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Swallow/スワロウのMiaのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
3.5
“Swallow” が色んなものを象徴している。

異食症って初めて認識したけど、そう言えば赤ちゃんの時になんでも口に入れたくなっちゃう衝動は誰しも通る道だし、なんとなく人間の欲求の根幹に通じてることなのかな。それを成長過程で「食べていいもの、ダメなもの」を認識して自然にコントロールできてるだけなんだろうな、と思うとおもしろい。妊娠中に発症するのはよくあることらしい。

夫からの自分本位な愛、管理的な義両親。
何が苦しいかって、誰もハンターのことを本当の意味では「目を向けていない」こと。愛してる、君が必要だ、といくら言われても、結局「リッチーの妻」であって「ハンター」自身ではなくなっていく。
自分の言葉を飲み込む、自分の意志を飲み込んでいく、そうして乖離していく「ハンターの妻」としての自分と、心。
序盤からずっと苦しい。

自分の意思がどこにあるのか、それを自分がどうしたいのかということに自覚的であることって、本当に大事。
自分が自分を大事にできなくて、代わりに他者がそれをしてくれる保証なんてどこにもないし、期待もできない。だから逆に、そうしてくれる他者に出逢ったらめちゃくちゃ大事にしなきゃいけないんだけど。

バスルームが唯一の逃げ場。飲み込んだものを排出できる(=解き放てる)たった一つの場所、エンドロールまでその演出が良かった。

ハグボーイ、サラッと描かれていたけど、演出的にいい味出してた。病的で。笑
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