一人旅

シチリアーノ 裏切りの美学の一人旅のレビュー・感想・評価

3.0
マルコ・ベロッキオ監督作。

『肉体の悪魔』(86)のイタリアの名匠:マルコ・ベロッキオが監督を務めた実録マフィア物の力作で、血の掟を破り政府側に寝返った実在のシチリアマフィア:トンマーゾ・ブシェッタ(1928-2000)の半生を、彼の証言を基に行われた数多くのマフィアを裁く歴史的裁判の進行と共に描いていきます。

1980年代初頭、コーザ・ノストラに忠誠を誓ったパレルモ派の大物マフィア:トンマーゾ・ブシェッタは身の安全を確保するため故郷シチリアを離れブラジルに渡るが、その間シチリアに残した彼の家族が敵対するコルレオーネ派の報復に遭い次々と殺害されてしまい、やがてブラジル当局によってイタリアへ強制送還されたブシェッタはマフィア摘発に執念を燃やすファルコーネ判事に協力することを決意する―という実録マフィア映画で、マフィアの掟を裏切り政府側の協力者として他のマフィアの悪事を証言したブシェッタの半生を彼自身の回想を挿みつつ紐解いていきながら、血で血を洗うイタリアマフィアの抗争の歴史と約350名のマフィアに有罪判決が下された歴史的裁判の全貌を明らかにしています。

いわゆる“ドンパチ物”ではなく法廷劇の形を採った実録マフィア映画で、シチリアの大物マフィアだったトンマーゾ・ブシェッタが裏切り者となった経緯や、マフィアとしての倫理と矜持を蔑ろにして血生臭い抗争と麻薬による金儲けに明け暮れたコーザ・ノストラの堕落の真相を興味深く知ることができます。
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