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タイ映画だ。
面白かった。
こういう作品の常で評価はあまり高くないようだが、私は楽しめた。
タイ映画はトニー・ジャー作品しか観た事がなかったのだが、お見それしましたという感じだ。
タイはトニー・ジャーだけではないのだ。
エンタメの何たるかを日本より熟知していると言えよう。
(個人の意見)
深さ6mの飛び込みプールの底に取り残された主人公たちの、必死の脱出劇を描いたサスペンス・スリラーである。
最初に取り残されたのは主人公のデイだ。
詳細は割愛するが、これには非常に間の抜けた経緯があったのだ。
実にお気の毒である。
私と同じでハンサムな好青年である。
次にデイの恋人であるコイ。
最後にワニ。
この3人が水の抜かれた深さ6mのプールに取り残されるのだ。
プールにハシゴはないし、足がかり手がかりになるような箇所もない。
周囲に人家などもないから、助けも期待できない。
携帯電話は早々に使用不可。
愛犬のハッピーはプールサイドで鎖につながれている。
食料もないし、プールの底ながら水分補給もままならない状況である。
まさしく八方ふさがり、絶体絶命の大ピンチなのだ。
果たしてデイとコイとワニはここから脱出する事ができるのか!
生き残る事はできるのか!
そんな物語である。
(なんか違うよ)
デイとコイとワニで協力すれば、簡単に脱出できたのかもしれない。
しかし、ワニに協調性はなかった。
奴は脱出の事など思慮外なのだ。
隙あらばデイやコイを食べようとするのである。
そう、奴は生粋の爬虫類だったのだ!
という訳で、デイとコイはワニの攻撃を排除しつつ、プールからの脱出を必死のパッチで試みるのである。
この物語の特徴の一つは、デイの運の悪さであろう。
彼はものすごく頑張るのだ。
負傷したコイを守りつつ、裏切り者のワニと戦いつつ、あらゆる手段で脱出を試みるのである。
しかし、それがことごとく不発に終わるのだ。
実に運が悪いのだ。
運が悪いこと山の如しなのである。
あらかじめ決められていたかのように運が悪いのだ。
私はタイ映画に詳しくない。
ハリウッド映画に慣れ親しんだ身としては、当然ハッピーエンドを思い描いていた。
だが、この作品は最後まで結末が読めなかったのだ。
タイ映画に対する傾向と対策が不十分だったのである。
みんな、死んでしまうのかと本気で思ったのだ。
それがまた良かった。
恐るべしタイ映画、である。
まあ、結末に言及する事は差し控えたいと思うが、普通に面白いスリラー映画だった事は間違いない。
小道具の一つにガムテープがあった。
様々な場面で活躍するのだが、私はてっきり最終的にワニの口をふさぐものだと思っていた。
ワニはかみ砕く力はアホほど強いが、口を開く力はアホほど弱いのだ。
ガムテープでぐるぐる巻きにしてしまえば、奴を無力化できたはずなのである。
最大の脅威を排除できたのだ。
なんともったいない。
無知が招いた悲劇だと言えよう。
あれが私であれば、チョチョッとワニの口をふさいで、チョチョッと脱出していたであろう。
智恵と勇気を兼ね備えた、私ならではの芸当である。
どうか私に盛大な拍手を!
ワンちゃんとワニちゃんはかわいそうやったね。