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スパイ・アクションだ。
「007」タイプのスパイ物である。
物語の中心にあるのは、最凶最悪な万能デバイスだ。
世界中のネットのどこにでもアクセスでき、それらを自在にコントロールする事ができるし、破壊も可能なのである。
軍事、株式市場、交通機関、インフラ、金融・・・核のスイッチから個人の携帯まで、おはようからおやすみまで全てを牛耳る事が可能なのだ。
主人公はジェシカ・チャステイン演じるアメリカCIAの工作員メイスだ。
相棒がイギリスMI6のディジ、私の心の恋人ルピタ・ニョンゴが演じている。
ドイツBNDの工作員マリーとは共闘関係だ。
演じるのはダイアン・クルーガーである。
そして、一連の騒動に巻き込まれてしまうのが、ペネロペ・クルス演じるコロンビアの精神科医グラシエラだ。
この4人が例のデバイスを巡って悪党どもと戦うのである。
コロンビア~パリ~モロッコ~上海と世界を股にかけての大活劇だ。
なかなか面白かった。
スパイ映画にありがちな、込み入ったややこしい筋書きはなく、理解しやすいストーリーとなっている。
気軽に楽しめるアクション映画だと言えよう。
変に政治的な主張もないし。
・・・だが、私はその裏に政治的な思惑みたいなものを若干感じてしまって没入できなかったのだ。
人物紹介で敢えて触れなかったのだが、中国人の女優さんもいるのだ。
有名な女優さんらしい。
それは全然いいのだが、彼女のセリフに違和感を覚えたのだ。
まるで中国政府が世界を救うために活動していて、更に欧米諜報機関の失敗の尻拭いをしてあげたのだと言わんばかりの設定があったのである。
現実とそぐわない不自然な設定だ。
今の中国が西側諸国のために利他的に動く事などあり得るだろうか。
世界平和のために活動しているなんて事が信じられるだろうか。
中国が世界を救ってくれてもいいが、後が恐いではないか。
ましてや、あんな恐ろしいデバイスが今の中国の手に渡ってしまったとしたら・・・
ウイグルや香港どころでない事態が世界中で・・・・
やってしまった。
これまで政治的な発言はしないよう気をつけてきたのだが、どうにも我慢ができなかったのだ。
あまりに不自然過ぎて。
せっかくルピタ・ニョンゴと再会できたのに、これでは台なしである。
あくまで個人の感想である。
映画自体は面白かったので、皆さん観てくださいね。
詳しくは知らないのだが、この作品のオープニングで中国企業らしきクレジットがあった事だけは付言しておく。