T太郎

私の知らないわたしの素顔のT太郎のレビュー・感想・評価

私の知らないわたしの素顔(2019年製作の映画)
3.7
900
ジュリエット・ビノシュ主演のフランス映画だ。
ミステリーである。

殺人とか事件が起こる訳ではない。
心理ミステリーとでも言ったらいいだろうか。
大変面白く鑑賞させていただいた。

主人公はクレールという大学の先生だ。
離婚して二人の息子と暮らしている。

彼女はある事をきっかけにFacebookを始めるのだが、これが後々思いもよらない事態をもたらすのだ。

なんと彼女は24歳のクララという女性に成りすましてアカウントを作成するのである。

そして、アレックスという青年とやり取りをするようになるのだ。
クララとして。

私はほとんどSNSをやらないので、素っ頓狂な用語の誤用などあるかもしれない。
そこはどうかご容赦願いたい。
私はおっちょこちょいなのだ。

アレックスはクレールの知り合いの知り合いだ。
一方的にクレールが彼を知っていたという関係性である。
これは少々重要なポイントなので、しっかり覚えておくように。(何様?)

クララとアレックスはやり取りを続けていくうちにお互いに恋愛感情が芽生えてくる。
やがて電話で話すようになり、電話でエッチな事までしてしまうのだ。

こうなると残るアレックスの要求は一つしかない。
「会いたい」
である。

しかし、クララなど存在しないのだ。
クレールは美しく声が若いと言っても、50歳オーバーの中年女性なのである。

しかも、これまで嘘八百を並べ立ててきたのだ。
会えるはずがない。

クレールはこの事態に一体どう落とし前をつけるのか。

たが、ここまではまだ前半に過ぎない。
この後に驚くべき展開が待っているのだ。

物語はクレールが精神分析医に相談する場面と回想シーンから成り立っている。

クレールは赤裸々に語っていく。
自己の言動や出来事だけでなく、内面まで晒していくのだ。
いくら守秘義務のあるお医者さんだとしても、躊躇なく語っていくのである。

だが、巧妙に語っていない部分もあったりする。
それは果たして一体・・・

劇中劇もあったりする。
これは何なのか。
ちょっと騙されたではないか。
まあ、劇中劇だ。
フィクションだ。
物語のいいアクセントになっていて良かった。

これはSNSを通じて若い男にはまってしまった、愚かな中年女性の物語と見せかけて、実は・・・
と見せかけてホンマは・・・

そんな物語である。
普通に面白かった。
なんかドキドキしたし、驚きもあった。

ジュリエット・ビノシュはさすがだ。
変に若作りする事なく、等身大の美しい中年女性を演じていて良かった。

多分、体のケアとかは気をつけているのだろう。
走るシーンなど実に軽いのだ。
全くドタドタしていない。
些細な場面だが感心した次第である。

先程述べたように私はほとんどSNSを
たしなんでいない。
メジャーどころは皆無なのである。

したがって、クレールのような事態に陥る心配はまずないと言っていいだろう。

だが、もしあなたのアカウントにS二郎(24歳)の友達申請があったとすれば、それは多分私だ。
その時はよろしくお願いします。
T太郎

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