眼鏡の錬金術師

海辺のエトランゼの眼鏡の錬金術師のネタバレレビュー・内容・結末

海辺のエトランゼ(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ゲイの純愛もの。出会って、別れて、戻って、愛を確かめ合うまで。

沖縄の島が舞台。
間借りしている小説家駿と、母子家庭だった上に母を亡くしてしまった少年実央。

駿は物憂げに海辺のベンチに座る実央が気になっていた。少しギクシャクするが、ナンパに成功。しかし、すぐに実央は本島の施設に入らなければならなくなる。
数年後20歳になった実央はまた元の島に戻り、駿の家に住むことになる。
駿がそこそこ性格悪いというか、年上の癖に器が矮小なので、実央を不安にさせてしまうが、強引キッスで安心を与える。
駿には元婚約者桜子がいた。典型的な当て馬キャラ。桜子の登場で揺れる関係性。
ついに行われるセックス。ここのセックス描写がなかなかリアルで、男同士のセックスがどのような感じ行われるのか分からなかったけど、なんとなくその片鱗は感じられた。
2人で駿の実家へ帰省エンド。
こどもの実央がかわいいのと、背景がキレイだった。

我々の性的嗜好はかなり社会に規定されてる側面が大きい。日本では割りと昔から男色がポピュラーだったが、明治維新後のキリスト教的な西洋文化の流入で、異性同士の恋愛が正義になってしまった。江戸時代には普通に男娼の店があったらしい。古代ギリシャでも男色が普通だったことも有名だろう。
このような社会ではおそらくゲイが気持ち悪いという発想は起きない。結局はその社会においてのマジョリティとなるかマイノリティとなるかで、異常者であるとか、障害者であるとか、レッテル貼りが行われてしまう訳だ。
この辺の歴史や社会構造を捉え直すことで、自分の価値観の正体みたいなものに気づけたら少し寛容になれるかもしれない。