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フランス映画だ。
笑って泣けるいい作品だった。
ゲイの水球チーム“シャイニー・シュリンプス”が、ゲイ界のオリンピック“ゲイゲームズ”で奮戦する物語である。
マチアスは競泳の選手だ。
ゲイに対する差別発言によりペナルティを受ける事に。
コーチとしてシャイニー・シュリンプスを率いて、ゲイゲームズに参加させよ、というご下命だ。
マチアスは何としても世界水泳に出場したいのだ。
このペナルティを乗り切ったら出場権を得られるかもしれない。
よ~し、やったるで!
という訳で彼はシュリンプスに合流する。
しかし、彼らは全くやる気がないときている。
練習中もおふざけに明け暮れるのだ。
しかも実に楽しそうなのだ。
確かに、おふざけほど楽しいものは無いと言えるかもしれない。
私など生真面目一本でやってきた人間なので、そこは実に苦手分野なのだ。
彼らの楽しそうな様子を見て、ちょっぴり羨ましくなったものである。
差別発言をしたマチアスだったが、意外やすんなり受け入れられる。
受け入れられるのだが、シュリンプスの面々はおふざけに余念がない。
とにかく仲間と一緒にいるのが、楽しくて仕方ないといった様子である。
全編通してではないが、ロードムービーとしても楽しめる。
ゲイゲームズが開催されるクロアチアまでの遠征行は実に愉快だ。
ケンカしたり恋をしたり、もちろん練習もちゃんとしたり。
マチアスの名セリフ
「練習だぞ、どうしてやたらとチ○コを出す」
翻訳がいいのかもしれないが、真面目なマチアスのこのツッコミには大いに笑わせていただいた。
悲しい出来事を経ての最後の場面。
明るい雰囲気でありながら、妙に泣けてくるいいシーンだった。
と同時に、ゲイに対する差別的視線があるいう現実も示している。
言わずもがなだが、ラストシーンの中でぽつぽつと退席していく人たちは、多分そういう人たちなのだ。
シャイニー・シュリンプスという水球チームは実在するらしい。
ゲイゲームズという大会も実際にあるのだろう。
しかし、物語自体は多分フィクションだ。
私は実話と銘打たれた作品は、話半分で観るようにしている。
映画的演出や付け足しのエピソードなどが、必ずあるはずだからだ。
伝記物や実話はそういう色眼鏡で観てしまうので、素直な気持ちで鑑賞できない事があるのである。
その点、フィクションはお気楽でいい。
私のお気楽人生には、お気楽フィクションが必要なのだ。
もちろん、実話物にも大好きな作品はたくさんあるし、実話物が嫌いな訳でない事は慌てて申し添えておく。
私は四方八方にいい顔をしたい人間なのだ。