T太郎

フロッグのT太郎のレビュー・感想・評価

フロッグ(2019年製作の映画)
3.8
926
サスペンススリラーだ。
ホラーかと思っていたら完全にサスペンススリラーだった。
面白かった。

まず構成の素晴らしさに拍手だ。
物語は前半と後半に分かれていて、そのつなぎ目も非常に上手かった。

前半について説明しよう。

奇怪な出来事がある家族に起こっていく。
ポルターガイストを思わせる不気味な霊現象だ。
これは一体何を意味するのか。
なぜ、このような現象がこの家族の身に降りかかるのか。

夫のグレッグは刑事だ。
町で起こった男子児童誘拐事件を捜査している。

妻のジャッキーは良妻賢母に見えるが不倫をしていたらしい。
そのせいで家族は非常にギクシャクしている。

一人息子のコナーは高校生だ。
母親の不倫を知っていて激おこプンプンである。

この3人が暮らす家で様々な怪奇現象が起きていくのだ。

ジャッキーの不倫が災いの元なのだろうか?
この家族に何かしら思いのある霊の仕業なのだろうか?

全く分からない。
どこかチグハグな現象の数々に私たちはより一層不穏な気持ちになるのである。

ある日、ジャッキーが帰宅すると窓の修理業者が無人のはずの家で作業をしている。
聞いてみると、娘さんが対応してくれたという。
娘などいないのに・・・

これはなかなか優れた演出だった。
非常に不気味である。

他にも、グレッグがクローゼットに閉じ込められたり、テレビのスイッチが勝手についたり、突然レコードがかかったり・・・

数々の怪奇現象が家族に襲いかかるのだ。
この家は呪いの館だったのか!
つい最近まで何もなかったのに。
気色悪いではないか。

と思っていたら、ついに人命が・・
ジャッキーの不倫相手が地下室で殺害されたのだ。

更に息子のコナーにも危害が加えられ・・・

むむ、ついに悪霊が本性を現しやがったのか!

ここまでが前半だ。
同時並行的に語られる男子児童誘拐事件の顛末も気になるところである。

    以下がっつりネタバレ
 
  未見の方は本編を鑑賞した後に
  読む事をお勧めする。
  後でヤイヤイ言われても当方で
  は一切の責任は負わない。
  
  だから、ヤイヤイ言わないでね。
  ボク泣いちゃうから。

後半はいわゆるタネ明かし篇だ。
数々の怪奇現象を誰が、なぜ、どのように為したのかを描いていくのである。

若い男女が登場する。
アレックとミンディだ。

彼らはフロッギングとかいう訳分からん生活をしている。
他人の家に秘かに入り込み、数日間地下室とか開かずの客室で勝手に寝泊まりをするのだ。
家族にばれないように。

豪邸が狙われるようだ。
部屋数が多いからだろう。
私も気をつけなければ!
(全然心配ないよ)

本来は数日間おとなしく過ごして出て行くのだが、なぜかアレックが暴走を始める。

彼は家族を恐がらせる事に異様な執念を見せ始めるのだ。
ミンディの制止に耳を貸す事なく、彼の行動はエスカレートしていく。

そう、前半で私たちを震え上がらせた怪奇現象の数々はアレックの仕業だったのである。

しかし、なぜアレックはこのような行いを?
ただのイカレた若者なのか?

この後、タネ明かし篇の更なるタネ明かし篇があるのだ。
そこも全てネタバレしたいのだが、紙面には制限がある。
(ないよ)

ヤイヤイ言ってくる紳士淑女もおられるだろう。
となると、私は必ず泣いてしまうのだ。
私も男の子の端くれである。
むやみに泣く訳にはいかないのである。

よし、ネタバレはこの辺にしといたろ。

あれこれ考えだ末の苦渋の決断である。
どうか、ご理解いただきたい。

追伸     
ジャッキー役はヘレン・ハントだ。
最初は全く分からなかった。
「恋愛小説家」の頃とのあまりの違いに一抹の寂しさを感じた次第である。
T太郎

T太郎