大都市のすぐ側にある自然区域。行政の都合で自然公園として開発されることになり、そこに住んでいるコミュニティは退去を求められる。
「いくら貧困でも良識くらいは分かるでしょ」
市(?)の担当者はエナカ一家に対する差別的な嘲笑や蔑みを隠そうともしない。今までに住んでいた自然と違って家族以外との接触が避けられず、求められる順応レベルの高さから様々な衝突が発生する(車道や土地の所有という概念がないのでトラブルになったり……)。
公権力による暴力行為や生活が追い詰められる毎に父親が家父長制による権力に縋るようになっていく姿が全て映っているドキュメンタリーというだけで貴重な映像。
この映画に出てくる男性たちは皆(家父長制の枠に入らない)主体として生きてきた経験がないために選択をすることが出来ず、ギャンブルに依存したり自殺を図ったりする。家父長制は性別二元論の元に女性を下層階級に固定させて男性をも奴隷にするものだ。
女性たちも身に起きたことの責任をパートナーが取ってくれないと自己責任社会に放り出されることになるので、やっぱり家父長制は解体して包括的性教育を教育に盛り込むかない。自然開発も人間の愚かさの象徴の一つだね。