一人旅

セイント・フランシスの一人旅のレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
5.0
アレックス・トンプソン監督作。

主演のケリー・オサリヴァンが実体験を基に脚本を手掛け、新鋭アレックス・トンプソン監督が演出した人間ドラマの隠れた傑作で、30代独身女性と6歳の少女とのひと夏の関わりを綴っていきます。

大学を1年で中退し現在はレストランの店員として働いている34歳の独身女性:ブリジットをヒロインにして、夏の間だけ子守の仕事を得たヒロインが6歳の少女:フランシスとその両親であるレズビアン夫婦との間で交流を深めていく様子を描いた“女性映画”の傑作となっています。

結婚もせず定職にも就けないことに焦りを感じている30代半ばのヒロインと同性カップルに育てられている無垢な少女との交流と絆の形成を軸に描きながら、望まない妊娠と人工妊娠中絶、生理に対する男性の無理解、同性愛、産後うつと孤独な子育て、社会からの疎外感…と女性特有の身体&心の変化と人生の生きづらさを綺麗ごと抜きに赤裸々に映し出した等身大の女性映画の傑作で、主演のケリー・オサリヴァンが少女とその家族との関わりを通じて前を向くヒロインを繊細に演じ切っています。
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